「イスラム教のほうがキリスト教より寛大だ」
オザワだかタヌキだかわからない人が、こう言ったらしい。何を念頭において言ったのだろうか。確かに、例はたくさんあるかもしれない。もともとイスラム教は寛大で、とくに啓典の民に対してはそうだ。以前、イエスの墓をイスラム教徒が守っていると書いたが、ローマ軍は紀元70年にエルサレムの町を焼き払い、ユダヤ人を追い出した。しかし、神殿こそないものの、町が再建されると、実際はユダヤ人は町に戻ってきていた。
ところが、キリスト教がローマの国教となった４世紀末からはユダヤ人が再び町から追い出されるようになってしまった。しかし、ローマ帝国の末期、636年にイスラム化したアラブ人がシリアとパレスチナを占領すると、キリスト教より寛大な彼らは、ユダヤ人がエルサレムに住むことを許した。彼らの居住区は、西の壁（嘆きの壁）のある今のオールドシティのユダヤ人区であった。
