Comments by Dr Marks

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The “tfu, tfu tfu” Eye:悪魔よけの目ん玉はイスラムとイスラエル共通の文化

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左はガメ氏のアヴァター目ん玉、右がハムサの目ん玉(へブル文字で上に “bli ayin hara” 下に”tfu, tfu, tfu” と書いてあるが、どちらも悪魔払いの呪文)

余のネット上の親友でガメさんという NZ 人がいる。彼の Twitter の(最近はブログもだが)アヴァターは気持ちの悪い赤い目ん玉。何だこりゃーと罵ってあげたら、涼しい顔で(暑苦しい目ん玉で)有名な目じゃないか、という。どんな有名な目なのか、いまだに余は知らない。

しかし、中東でアラビア人も、またミズラヒといわれる中東・北アフリカ系のユダヤ人 にも共通のお守りがある。ところが、今頃は(というかいつからなの本当はわからない)エルサレムやテルアヴィヴの土産物屋に売っているものには、ローマ字あるいはヘブル文字で “tfu, tfu tfu”と書いているものがあるから、アシュケナージといわれる東欧系ユダヤ人にも共通することがわかる。なぜかといえば、 “tfu, tfu tfu”というのはイーディッシュ文化での、すなわちアシュケナージ文化でのおまじないの言葉だからだ。

このお守りには目ん玉(青だったり赤だったりする)と手(5本指)がデフォルメされてデザインされている。悪魔の働きを監視して追い払うというお守りだが、そこにイーディッシュのtfu, tfu, tfu(唾を吐き出すようにトゥフ、トゥフ、トゥフと発音)があれば完璧というわけだ。このお守りの名前は「ハムサ(hamsa、chamsa)」と一般にいうがそれはアラビア語で、ヘブル語では「ハメーシュ(hamesh、chamesh)」という。いずれも「5」という意味だ。神の5本の指とでもいう意味だ。

さて、ここでユダヤ教でお守りかよ、と疑問を呈されたあなた、なかなかいいよ。お守りなんて異教徒の習慣で、ご法度ものだもんね。ところが、実際の人間の生活というのはそう杓子定規にはいかない。このハムサもそうだが、ガラスを割ることとその音も悪魔払いで、どちらも厳格なラビ様も笑って許してくださる。

ガラスを割るのは結婚式でおなじみだろう。だから、ユダヤ教の文化にあるレストランで誰かが誤ってコップや皿を床に落とすと、すかさずヒューヒューと声を上げたり手を叩いてくれるが、何も不注意だった人をいじめているのではない。むしろ、「よし、悪魔を払ってくれて、ありがとう!」と言ってくれているのだ。これは救われるよ。みんなが和やかになる。

ところでお守りといえば、ユダヤ人の玄関口にあるメズーザ(mezuzah)は迷信的お守りではない。申命記11章20節の規定に従っているだけだ。実は昨日、新しく入手したキャムコーダー(アメックスのポイントでもらった)でエンスィノ市のガートルード婆さんの家のメズーザを撮影した。いずれメズーザの話をすることもあろうが今日はここまで。