Comments by Dr Marks

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蝕まれた太陽の頃には歯も蝕まれるものか Extraction of Wisdom Teeth

日食は日蝕と書いてゐた。世界で(アメリカはそれほどでもなかつたが)日蝕騒ぎの頃、18番の歯に異変があつた。17番に押されて蝕まれ始めてゐたのだ。歯のクリーニングに行くたびにDDS(歯医者)に云われていたから知つてはゐたのだが、金も掛かるし(貧乏だから)逃げ回つてゐた。

私は親知不知あるいは知歯(英語でも知恵歯 wisdom teeth)が4本揃つてゐた進化に遅れた人種である。ただし、1本は早々に虫歯になつて取つてあるから3本が残つてゐた。今のところ1本は将来も悪さをする位置ではないため、残りの2本が問題であり、現に1本(17番=左の下顎第三大臼歯のこと)が随分と18番(左の下顎第二大臼歯)を押してそこが歯磨きの死角になり蝕まれ出した。

アメリカでは思春期に勉強の妨げになるなどと云つて4本とも一気に取つてしまふ。しつかりと顎に食い込んでからの抜歯は大変だからだ。思春期にアメリカにゐなかつた私はその時期を失つた。しかし、ホームDDSから紹介で回された若い東洋系歯科医兼医師(DDS&MD)の勧めでは、今からでも遅くないから17と32(要するに左右の下の奥歯)の2本をこの際取るのがよいさうだ。ホームDDSにも電話して同意を取り付けた。

高齢になつてからでは、私のように歯や歯茎が人よりも丈夫な場合はむしろ抜歯せざるを得ないときにリスクが高くなる。しかし、それでも今現在しつかりとroot canal(歯根管)に隣接しているので大変だ。部分麻酔では困難なのでI.V.の全身麻酔になつてしまつた。泉鏡花の『外科室』ではないが、寝言を言ふかもしれない。日本語で出ようが英語で出ようが、L.A.では油断ならむ。

で、ともかく終わつた。何と抜歯の医者は、我が家から歩いて5分のメディカルビルディングにあるのだよ。今朝、朝食や水分を摂らず予約の5分前に家を徒歩で出た。術後は麻酔があるので医師の指示で近くても徒歩では帰らず、車を回してもらつた。

今のところ、術後9時間経つたが腫れも痛みもない。薬は化膿防止を飲んだだけだ。これからお粥を自分で作つて食べる。明日はユキ、スキの珍しい資料を見つけたので、それを眺めることにしよう。安静にしろと云われたが、なかなかそれも大変だ。