Comments by Dr Marks

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Entries from 2008-10-01 to 1 month

オリジナルな仕事とウィキペディア―Witherington vs. Goodacre

アメリカの聖書学者や神学者を含む宗教学者(私みたいなのも含めて)のかなりの部分(しかし、一応50歳以下にしておこうか)がウィキペディア大好きである。しかし、この際、ウィキペディアといっても日本語版は含まず(てか、普通のアメリカ人は読めねーよ…

Obama's 30-minute TV Ad Is Muscle-Flexing That Has Little Precedent―前代未聞の金権政治

一週間以上前に、「Heil Obama!−漫画が漫画でなくなるとき」という記事を書いたが、その中で私は「前代未聞(little precedent)の金権(muscle-flexing)政治」と表現した。まさにそれに対応するような英語の表現をCNNのネット版でみた。本当は little preceden…

学者の世界では、落第など怖くないどころか日常茶飯事

何を隠しましょうぞ、中退・落第の何が悪い。物理を落第して数学に行ったり、数学を落第して哲学に行ったりなど、学者の世界では珍しくない。むしろ、やりたいことをやり続けるために、中退したり落第することも辞さなかったと言ったほうがよいのかもしれな…

結局、SBL と AAR は一緒に年次大会を開くことになりそうだ(最新情報)

たった今、SBL(Society of Biblical Literature)の理事 Kent Richards 先生から連絡が入った。今年から SBL と AAR(American Academy of Religion)は別々に年次大会を開催し、4年に一度だけ(オリンピックみたいだが)一緒に開催するということで合意し…

突然、交差点の名前が変わった日―撮影隊をパパラッチ

映画産業の地元なので近所ではしょっちゅう撮影が行われている。写真でもわかるようにまことに典型的な小市民型の住宅地だ。しかも、L.A.としては古い街でもある。撮影となると大型車両がずらっと並ぶので、今日も家の前は駐車禁止になってしまった。一部は…

遠来の客人(拙宅宿泊予定)を迎える準備中の立ち読み休み―タダイの話その後(「不可能」の聖人ユダの祝日を迎える日に)

ユダヤ教徒やキリスト教徒は、過ぎ越しの祭や復活祭の前に、すなわち春に大掃除をすることが多い。ところが我が家は遠来の客(二人)を迎えるので、この秋に大掃除をしている。大掃除といえば、よく何かを見つけるたびに一休みしてしまうものだ。今日は床置…

小谷野敦先生のブログ「オオカミ少女はいなかった」について少々

はははは、これで三部作。いや、意外と文献に関するネタは我がブログの読者には受けることもわかったので、ブログ・シャバートなんだがもう一回やってみる。 WPで香山リカが「本名・非公開」になっているが、立教大学教授が本名非公開なんて、ありえるのか…

小谷野敦先生のブログ「著者名列挙やめい!」について少々

最近、主として書下ろし小説のアンソロジーで、作者全員の名前をずらずら並べるのが増えてきた。「最後の恋」阿川佐和子,角田光代,沢村凛,柴田よしき,谷村志穂,乃南アサ,松尾由美,三浦しをん著 新潮社 2005 といった具合である。仮にこれを、論文を書く際に…

小谷野敦先生のブログ「鈴木堅弘の珍妙な注のつけ方」について少々

私はまず注を見て驚いた。たとえば、(19)阿部泰郎「『大職冠』の成立」(吾郷寅之進、福田晃編『幸若舞曲研究 第四巻』三弥井書店、一九八六年、八二頁)とある。ところが、次の注も、その次の注も、ページ数が違うだけで、「阿部泰郎「『大職冠』の成立」…

ロスアンジェルス市警の検視官と市中の検死屋ならびに強欲弁護士(三浦和義の自殺と弁護士の狼狽)

この記事を書いた後、日本のニューズを見て気づいたことがある。検死屋を「病理学者」なんて訳している。アフォ、学者なもんか! いやはや、ハイエナのようなガラゴス君は今度はロスアンジェルス市警からでも金をせしめようとしているのかね。この弁護士はい…

Heil Obama!−漫画が漫画でなくなるとき

動画はドイツ語の Heil Obama! ではなく、英語の O'Hail Obama! ということで…。Heil Obama! もありますよ。ネットで検索すればわかるように「ハイル オバマ!」というアイディアは、かなり初期からあった、ネガティヴ・キャンペインの中でも品がよいもので…

このブログを開設して13か月過ぎて思うこと―猫猫ブログ、コメント欄(ブクマ米欄を含む)、匿名のことなど + 追加だよ、大橋先生

以下はとりとめもないことだらけで、メモ書きのようなものですまない。読む価値もないよ。(最後は、大橋先生へのいたずらになっちゃった。)「はてな」のことなど何も知らないときに、コメント欄のないブログ向けにこのブログを開設してから早1年が過ぎ、…

史上最高の資金を投じて大統領の地位を買おうとしている金「券」政治家オバマ

前代未聞の資金を集めたオバマはほとんどのメディアを買い切ってしまった。とくに激戦州には思い切った金を投じている。2万8千ドル(故人個人の法定限度)の献金ができる支持者が多いだけでなく、その資金源についてはさまざま取りざたされている通りだろ…

シャバートにラビの話を聞いた

動画は、記事とは直接の関係がない。"Amen" というホロコーストとヴァティカンの関係を描いた映画があったが、厳密な史実というわけではない。戦時下のヴァティカンをなじるような作品であるが、よく見ればわかるように、イエズス会士らの立派な人々も描かれ…

No.7

『聖書のおんな』― 4. リベカの巻リベカの名が登場するのは創世記の22章23節である。アブラハムの兄弟ナホルと妻ミルカの8人の子供の末っ子にベトエルがいて、そのベトエルにはリベカという娘がいると紹介されている。つまり、リベカの父ベトエルはイサクの…

Clean Hands Doctrine―嘘つきは証人になれない

いや、マケインのキャンペインは100%ネガティヴだと嘘ついたオバマのことではない。猫猫先生ご関心の大相撲八百長裁判のことだ。出版社側の証人は証人として使えないはずだ。嘘をついた人間が「嘘をついた」と法廷で証言するのは原理的に使えない。また、嘘…

マケインがトルーマンになられては困るオバマ

オバマが、今のところ優勢だからといって民主党陣営が安心しきってもらっては困るとほざいたらしい。確かにそうだ。昔、60年前の1948年の選挙で各新聞はトルーマン(民主党)の対抗馬デューイ(共和党)が優位と報じた。デューイは安心しきって早めに寝たし…

スッコート(仮庵祭)の食事

今夜はいただいた食事。楽でラッキー。メインのベースはゲヴィッチのようなもので、肉ボール一つ、焼いたソーセージ一本、左に煮込んだキャベツを載せて食べた。別の皿はお菓子で、デザートのほうが大きいじゃねーか。三角のデザインはハマンのようだが、ハ…

信用と信仰―クレジットとトラスト

嘘つきを書いてから「クレジット」を思い出した。「信用」と訳されるが、金融の意味では二重の説明が可能だ。だから、簿記をはじめて習う者はよく混乱する。実はこの言葉は元々は「貸す」ほうの言葉なのだが、日本語あるいは日本的環境では多分のところ「借…

予告:シリーズ『聖書のおんな』リベカの巻は明日一回読みきりでオンする

リベカは鼻輪をしているんだが、それでも好きかね、鼻輪のおんな。刺青とか鼻輪とか古代からのものだが、かえって現代っ子のほうが抵抗ないんだよな。何っ、相手による? それもそうだ、似合わん奴もいるし。通すときは、このように片側がいいんだよ。真ん中…

「自死」について―小谷野先生からのコメントに関連して

私は最近の日本語の語感を失っているし、文化的状況にも疎い。一昨年から日本語のブログサイトに行き始め、昨年の9月下旬からは、このブログを始めた関係上、徐々に近時の日本の文化的状況に接するようになったが、日本の新聞雑誌やテレビ等に接する機会も…

Nemo Vitam Evitabit 誰も生きることを避けることはない(だろう)

成績がどんどん悪くなって、思い出すのも苦々しいラテン語の一文を思い出してみた。動詞の未来形が、一般的真理または単なる言説を表わすというシンタックスで習うもので、未来形に訳しても現在形に訳しても日本語や英語なら正解。誰も生きることを避けない…

本棚2本完成とリベカ論文3本読了

今月末に遠来の客人を迎えるのに、家中足の踏み場もない状態だ。ベッドルームを一つ提供しなくてはならないが、物置化している。一つには本の床置きが問題だ。気が付けば、近頃は猫猫本などの日本語書籍も多くなっている。すでに大工さんにやってもらった造…

Peace Pot Microdot−"None of This Makes Any Sense"

Peace Pot Microdot という文字の入った帽子を三浦和義は被ってロスアンジェルスに降り立ったそうだ。そういえば、金曜日に当地のニューズで見たときに、そのようなものを被っていた。Peace Pot Microdot、略して PPMD というのは、古典的ヒッピーの用語だが…

翻訳天国のほんにゃら論争

とくに信頼できて面白い日本での話題は小谷野先生のブログや著作を通して得ている関係上、結局のところ、猫猫先生の後追い的になっている。その関連から某ブログで知ったのだが、日本では他人の翻訳に瑕疵を見つけてそれを話題にするだけでなく、他人の翻訳…

小説を読む暇に勉強するのか―漫画で勉強した俺は?!

猫猫ブログで柳田国男が小説を嫌っていた話を読んだ。へー、そういう年代というのがあるのか。思い出したことがある。あの某先生はまさか柳田國男の年代ではなく、柳田が死んだ頃に大学を卒業しているのでまだご存命のはずだが、こんな話を聞いた。その先生…

Expulsion and Rescue(追放と救出)―Yom Kippur(The Day of Atonement、ヨーム・キップール、贖罪日)の日に + 「ハガルの巻」めでたく完結 + 南部博士再び

今日は贖いの日だ。クリスマス・クリスチャンとかイースター・クリスチャンという、年に2回くらいしか教会に行かない罰当たりがいるが、今日、街で見かけたユダヤ人の中には、背広姿で車から降りてきて(No Car Day!)ポケットからしわくちゃのヤマカ(キュ…

呟きとお礼のみ

明日ワシントンに帰る先生との付き合いやらなにやらでマケインとオバマのタウンミーティング形式討論会は終わりの一部を見ただけ。あんなのが投票に影響を及ぼす時代は終わったような気がする。NBCではすぐさま両候補の発言検証番組に変わったらしい。これも…

Exclusion and Embrace(排他と抱擁)―旧約聖書の遊女たち

Rahab the Harlot (A Biblical Beauty)まさに今エール大教授の Miroslav Volf 先輩の著書の題名そのものだが、聖書を読んでいると、排他と抱擁の素晴らしいバランスだなと思う(ヴォルフの著作の文脈とは無関係な話ではあるが)。もちろん、人間が人間に対し…

日本語新書版の分量と聖書学雑誌論文1本の分量

日本語新書版の分量と一口に言っても多様ではある。しかし、通常の新書版は通読にそれほどの時間を要しない。読書の速さは人それぞれであるし、また同じ人でも内容によって速さは違うので何時間かかるなどとは言わない。学術的単行本1冊から比べれば薄いと…