Comments by Dr Marks

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小谷野敦先生のブログ「著者名列挙やめい!」について少々

最近、主として書下ろし小説のアンソロジーで、作者全員の名前をずらずら並べるのが増えてきた。

「最後の恋」阿川佐和子,角田光代,沢村凛,柴田よしき,谷村志穂,乃南アサ,松尾由美,三浦しをん著 新潮社 2005

 といった具合である。仮にこれを、論文を書く際に論及したとしたら、コピペすればいいといっても、見た目が良くないし、なんだか百姓一揆の唐傘連判状みたいで気持ち悪い。(猫猫ブログより)

その通りだが、引用ではなぜ「小谷野敦、ほか」としないのだろうか。欧文の場合は Koyano, Atsushi, et al. のように et al. を使うが、少し注意が必要だ。これはラテン語で et alii(alii←aliusの複数形)の略すなわち and others なので「ほか」の人が二人以上の場合に限り使用できる。「ほか」の人が一人すなわち著者が全員で二人の場合は、et al. を使わず、英語なら Koyano, Atsushi, and Mark W. Waterman のように and(&) を使う。

ただし、末尾に文献欄がある場合はそこに於いて、ない場合は初出の際に、全員の名前を一度はリストアップしなければならない。さて、論文の筆頭著者は誰にするか? アルファベット順とか五十音順などにすることは普通ない。グループのボス? うん、それもありうる。しかし、まともな人たちなら、最もその研究に貢献した人が筆頭著者になる。従って、通常、筆頭著者であるかそうでないかで業績の重みが変わる。

ところがねー、若い人の研究を何でもひったくって自分が筆頭著者になってるボスというのはどこにもいるんだよ。反対におんぶにだっこで研究させてもらって論文まで書き直してもらったのに、ボスが俺の研究盗んだって陰でごねる分からず屋もね。学位審査の足しにお情けで名前入れてもらってる若い者だっているんだから。

あっ、これって小説のアンソロジーの話ではなくて、主として自然科学系の研究論文の話だからね。その点よろしく。