Comments by Dr Marks

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小説を読む暇に勉強するのか―漫画で勉強した俺は?!

猫猫ブログで柳田国男が小説を嫌っていた話を読んだ。へー、そういう年代というのがあるのか。思い出したことがある。あの某先生はまさか柳田國男の年代ではなく、柳田が死んだ頃に大学を卒業しているのでまだご存命のはずだが、こんな話を聞いた。

その先生は東大医学部を定年退官後に某大学の学長をなさった方なのでわかってしまうかもしれないが、「私は小説を読んだことがない」とおっしゃっていた。実は、その先生とは仕事での付き合いだったのだが、ひょんなことからハワイ大で研究中に私の身内(当時ハワイ大医学部非常勤講師)の世話になったことが会話の中で明らかになり打ち解けてきたので、こう聞いた、「どうしてですか」。お答えは「時間の無駄だから」。

まさにポカンとしてしまって二の句が継げなかった。医者というのは小説家だったり音楽家だったりして文学(小説)が好きなものと思い込んでいたからショックだった。確かに、時間の無駄に過ぎない小説も多いが、評価の安定した作品を読んで「心」というものができてくると思い込んでいたから、医者が小説を読んだことがないのは驚きであった。

しかし、私の亡父は、1枚ものの政治漫画は別として、ストーリーのある漫画は読んだことがないと言っていた。逆に、漫画大好きの私は隠れて漫画を読み、漫画で漢字を勉強したようなものだ。今は大学教授が偉そうに漫画を語るし、漫画家が大学教授になる。

文化の時代性というものであろうか(呉説)、それとも個人的性向とか体験か(岡谷説)。