Comments by Dr Marks

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犬は人間を傲慢にし、猫は謙遜にしてくれる

まあ、よく言われることだ。犬は人間にべったりで、尻尾を振ってなついてくるが、猫はそうはいかない。犬の目を見つめてみると、真剣に見つめ返してくるから「愛(う)い奴じゃ」となるのであろうが、猫は「何だ、急に、お前。気は確かか?」という雰囲気で見つめ返すか、しらんぷりされるだけだ。

よくなついた犬を見ると、人間は動物(大袈裟に言って万物)を従える王様のような気になるが、猫と付き合うと、畜生のくせに、猫にとっては人間なんぞ屁でもないことがよく思い知らされる。犬は一生懸命になって人間と幸せな関係を結ぼうとするが、猫にとっては、そんなことはどうでもいいのだ。

そんな猫が嫌いだという人もいるが、私は好きである。我が家で朝食その他を食べていく隣家の猫ルー君なども、食べ終わるとさっさと家から出て、裏庭で大好きなハンティングの続きに戻る。友人が、そんなルー君を見て、「薄情な猫だね」と言うが、私はかえってサッパリしていていいと思っている。

もっとも、この猫は、気が向けばテーブルの上の本やノートやパソコンの上に寝そべって悪戯したり、座っているイスの後ろに回って腰をトントンと叩いてマッサージしてくれることもあるのである。通りすがりには必ず体や尻尾を私の足に擦り付けてゆく。また、庭で遭遇すると、いきなり横になって腹を見せるというご愛嬌もやってくれる。

従って、決して冷たいというわけでも、ちゃっかりしているというわけでもない。しかし、人間がどう思おうと、ルー君にとっても、そんなことはどうでもいいのであろうね。