Comments by Dr Marks

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人を見る目のない私は、あの世の伊勢谷友介を見失っていた

私は人を見る目がない。いや、本当は自信がある。むしろ、かなり見る目があると思っている。採用面接などでは、私の目に狂いはないとの実績がある。しか〜し、人の顔の記憶に自信がない。一つには面接のような目的外では人の顔をまじまじと見つめることが憚られるからだ。アメリカ人はしっかりと見つめる。しかし、私は日本育ちなので、その辺りは日本人メンタリティーなのだ、多分。

しか〜し、映画なんだから、しっかり見つめていていいはずなので言い訳にしかならない。おいおい、これはいったい何の話なんだ。いや失礼、ことの次第をお話いたしましょう。過日、図書館でイスラエルの映画を探しておりました。ええ、映画のDVDの棚です。すると、I(イスラエル)の次はJ(ジャパン)で、最後のイスラエル映画の次に日本映画のトップとして "After Life" がありました。アルファベット順ですからね。

聖書学や宗教を専門にしておりますと、葬式やらあの世(after-life)は気になるものです。イスラエルのいくつかの映画と一緒にその "After Life" と題する映画を借り受けました。帰ってから細君と一緒に観ました。なかなか巧妙なトリックの映画で、50年もあの世に行けなかった男が目に焼き付けた楽しい思い出は、現世での許婚との思い出などではなく、50年を過ごしたあの古い建物での生活であったことなど、面白いと思いました。

そして、登場人物の演技が格別で、東京の人は東京弁のアクセントがはっきりと聞き取れたりすることに、私としては感心しておりました。そして、待てよ、この素晴らしさは私のような日本語ネイティヴでないと気づかない、画面の下に現れる英語の字幕などでは計り知れないな、などとぼんやりしていたところ、細君が突然「あっ、イセヤだっ」と言った。「何っ、イセヤって」とまだ気づかない私。細君が言うには、L.A.でも昨年から無料で観られるようになったNHKのドラマ『白洲次郎』の伊勢谷友介が出ているらしい。

あのドラマを観て以来、私たちは伊勢谷友介の大ファンとなってしまった。細君にしてみればハンサムでカッコよいことだろうが、私は悪い癖で、藝大と聞いただけでひれ伏してしまうくらい藝大出身者を畏敬の念で見てしまうから、当然ながら伊勢谷友介を好きになった。なのに、私は彼がイセヤの名で出ていても気づかなかったのである。

しかし、まあ、あれが『ワンダフルライフ』などという題であったら、観る気にはならなかった。誰の発案か知らないが "After Life" としたことはよかったと思う。ワンダフルライフでは意味もようわからん。この映画の公式サイトをリンクしておく。なお、先にウィキペディアで見たときは公開年が1999年となっていたが、DVDには1998年となっていた。海外での公開が先だったのだろう。そうか、むしろ英語の題が先だったのかもしれない。日本語でアフターライフでは意味がわからないので、逆にワンダフルライフなどという、ますますわけのわからない題になったのだな。多分。どう、監督さん。http://www.kore-eda.com/w-life/