殉教者製造工場の町、リビアのダーナー（Darnah）

日本語版のニューズウィーク誌ではどうなっているのわからないが、こちらの最新版（Newsweek, April 28, 2008）にショッキングな記事が載っていた。実はカダフィーでさえ知らなかったことであり、この町に実際にそのような組織があるわけでもないようだ。

昨年末にアメリカ軍がイラク北部の町シンジャー（Sinjar）を掃討した際に押収したアルカイダの文書によれば、テロリスト出身の町として、このダーナーという人口５万人程度の町が突出していたそうだ。そのため、ニューズウィーク誌が特派員を送り現地調査して、記事にしたもの。

リビアは、トリポリのある西のほうは比較的豊かだが、東のほうは貧しく、ベンガジの更に東の地中海に面したこの町も例外ではないらしい。若者は職がなく、嫁を迎えることもできず、モスクにこもったり、アルジャジーラ放送のアジテーションに見入って過ごすらしいが、町自体にジハード（聖戦）を促す風潮はない。むしろ、宗教指導者さえ、いたいけな若者（二十歳前後）の行動をいぶかしみ、悲しんでいる。消えた息子が気掛かりなある父親は、アメリカから来たこの記者に期待して、息子を連れ戻してくれたらラクダを一頭あげる、と語ったそうだ。