Comments by Dr Marks

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快刀乱麻、我が家のグラディアートル(剣闘士)


いつものことだが、我が家の前にある歩道のパームに実が生りだしたので月に2回来てくれる庭師に切り落としてもらう。パームの実といっても、あの食べられるナツメヤシの実ではない。やしの木にはいろいろな種別があり、我が家の前のパームは真っ直ぐに天を目指して伸びるだけである。LA特有の風景を作り出すもので、他の役には立たず、学名をWashingtonia robusta というものらしい。

この木の実は道を汚し、歩く人の邪魔にもなるので市役所に電話して切ってもらうこともできるのだが、あるとき、先約が多く400番目頃になるがそれでもいいか、とふざけたことを言われたので、以来、我が家の自己負担で切ってもらっている。我が家の庭師は比較的低賃金でやってくれるが、30分ほどの作業でも、チップ(この国は何にでも心づけをつける)を含めると、私が1日学校で教えるよりも高額になる。懐が痛いが仕方がない。

第一、ご覧のとおりの命がけの仕事で、いでたちも大なたというかサーベルというか、あるいはアフリカの panga のような刀を握り締め、爪付きの靴を履いて高いところまで上ってゆくのだ。日本人の庭師が多かった頃には、よく木から落ちて死んだという話を日系人の間で聞いた。仕事を見ていたが、彼の気が散らないように、こちらも話しかけたりせず、一緒に手に汗を握ってしまう。

もちろん近頃は、特に市の作業者は、消防のはしご車のようなもので作業するから気が楽であろうが、個人の庭師はそんな設備費を掛けることはできない。この写真のニルソン君の装備でさえ400ドル掛かっているそうだ。(刀は30ドルくらいで近所で誰でも買える。日本でこんなもの持っていたらおまわりさんに通報されるだろうな。)