Do Not Sign Any Legal Documents for 24 Houres If You Have Had General Anesthesia
医師「お元気ですか」
私「元気なわけないでせう。ま、手術は受けられますが」
医師「それは結構」
私「私の静脈は細い(小さい)ですよ」
看護婦「ラッキーですよ。うちの先生は静脈注射の名人です」
私「ああ、さうさう、私は酒に弱くてビールをコップに半分飲んでも顔が赤くなります」
医師「それはいいことを聞きました。麻酔薬にビールを混ぜませう」
こんな会話のうちに手術台に座らされたが、どうやら私の麻酔が掛かつた瞬間にはモニター代わりの室内電灯がその瞬間だけ薄暗くなるのださうだ。もちろん、私は見ることができない。
静脈注射は確かに上手で、医師は「ほら、液が流れ出しましたよ」などと云ふ。
医師「手術台を更に水平にしますよ」
私「まさに、ファーストクラスですね」
医師「え?」(技術がファーストクラスと思つたのかもしれない。だから「え?」)
私「ファーストクラスの飛行機の座席ですよ」
医師および看護婦「ああ!」
こいつらファーストクラスに乗つたことがないのか。かく云ふ私も1回しかないが、それも社用族で自腹は切つてゐない。自腹では今後も乗らない。ケチだし、貧乏だから。そして、その次の言葉は意識して口にした。多分、意識がなくなる寸前だ。さうすれば、その後何を口走つても構ふことはない。
私「嗚呼、貴方方は皆いい人だ」
1時間後に目覚めた。生きてゐた。医師が前と同じ姿勢で前にゐた。
さて、標題だが、手術前に事務員が「読まないですぐサインしてください」と云ふ。不思議なことを云ふものだと思つて聞くと「時間がない」と云ふ。しかし、読まないものにサインはできまいと考へながら、ふと見ると標題のやうな文面があり、文書の中味は術後の過ごし方の説明文であつた。
なるほど、術後の過ごし方など手術が無事済んでから読めばいい。単に、説明義務を果たしましたと云ふだけなのだから。それに、手術が無事済むのでなければ、読むこと自体無駄だ。その上、術後にサインさせるわけにはいかないのだ。全身麻酔後24時間以内のサインはすべて法律上無効であるから。