Comments by Dr Marks

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イエス・キリストの生涯は、ヴァージン(処女)に始まりヴァージン(処女地)に終わる

エスの地上の生涯は、信じるか信じないかはさておいて、処女であったマリアから生まれることから始まる。そして、刑死による彼の死体は、今まで誰も葬られたことのない、まっさらな新しい(ヴァージンの)墓地に葬られたことになっている。この墓地から、三日目にイエスはよみがえったが、よみがえった後は、普通の人間とは別の話とすれば、彼の生涯もヴァージンに絡んで終わったことになる。

史的イエスの研究をどこから始めるかというと、普通は考古学などではない。やはり文献から始める。文献といえば、福音書が、そして最古の福音書マルコ伝が研究の取っ掛かりであるが、もちろんその他のアポクリファなども古いものであれば大いに利用されるのだ。(たとえ相互に矛盾があろうが、天皇の歴史を学ぶためには古事記日本書紀が初めの文献になるようなものである。中国や朝鮮の歴史書との照らし合わせや考古学的証拠は、その後の応用的研究なのである。)

Etienne Nodet というフランスの学者が書いた本の英訳が出ている。 The Historical Jesus? Necessity and Limits of an Inquiry (T&T Clark, 2008)。まだ読んではいない。150ドルだから、図書館に入ったら読もうと思っている。自腹で買うほどの必要性はないと思っている。

読んではいないが、ある程度中味はわかっている。どうも、史的イエスの研究の発端を聖餐式(Eucharist)に置いているらしい。これは、文献でなく、伝承(tradition)から始める方法であり、珍しいことではない。また、四つの福音書中、マルコ伝を重視する一般の見方ではなく、ヨハネ伝に重きを置いている。これも、伝統から入る歴史学の方法論に立つなら、不思議でも何でもない。

ああ、そうそう。本書の中に、イエスはヴァージンの墓に、という件があるそうだが、これも、何も新しい言い方ではない。