アイルランドといえばクロワッサン、いやクロッサン
寒い冗談だったな。ビーラーで思い出したがクロッサン(John Dominic Crossan)はアイルランド出身だ。クロッサンは数年前までなら大学院で著作が取り上げられたが、この頃は下火だと思う。出版界でも下火だ。
日本での翻訳は浅野先生がクロッサンとボーンボーグのものを続けて出している。しかしだ、あの本を教文館が出したというのは不思議。ちょっと古い喩えだがカッパ文庫ででも出せばいいような本だ。浅野先生は英語は上手いが教養がないからあんな本まで翻訳してしまうんだな。やたら感激して。彼も一応新約学者なんだがなあ。
ところで、クロッサンは私の著作でもさんざんトンデモ学者として取り上げてしまったのだが、人間としては魅力的で個人的には好きな人だ。彼の自伝『テッペラリーから遥々と(A Long Way from Tipperary)』が2000年に出たときも早速買って面白く読んだ。カトリック司祭時代、ローマへの留学、彼の二人の妻、父の死など、どれもクロッサン自身の人柄が現れていた。
カトリック司祭のままでも子供はいないが、妻が二人いても彼自身の子供はいない。彼の生活と学問を支えた最初の妻は病気で死んだ。二度目の妻は彼の学生ではあったが、もう若くはなかった。この妻と今は仲良くフロリダで暮らしている。結婚して還俗したが、(カトリックとは言えないが)今もキリスト教徒である。
A Long Way from Tipperary: What a Former Monk Discovered in His Search for the Truth
- 作者: John Dominic Crossan
- 出版社/メーカー: HarperOne
- 発売日: 2000/08/01
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そういえば、日本の少し前の宗教学者なら誰でも知っている(知らないなら宗教学者ではない)ジョセフ・キタガワも出てくるぞ。もっとも彼はエリアーデとの関連で知られているというのが大方の認識ではあろうが、アメリカに来て彼の世話になった日本の学生や学者は少なくないはずだ。彼も彼の兄も日本で教育を受けたが(立教)、兄ちゃんはアメリカで聖公会の牧師になった。
そうそう、彼のクソ本なぞ翻訳・出版しないで、こんな本をするべきだ。翻訳など三流人間のすることと翻訳を止めた私でもこれならしてもいいと思ったぐらいだ。しかし、もはやクロッサンは過去の人だから翻訳しても売れんだろうね。