クレジットカードの署名くらい自分で書いていたのに。字を書く機会を失っていく。

私は幸いにして黒板（ホワイトボード）に書くという機会があるが、それさえパワーポイントで終わるならば書くことはなくなってくる。かつて冗談に、これだけテクストメッセージやコンピュータ筆記が進むと、一般人が字を書く機会はクレジットカードを使う際にサインするときくらいだね、と言われたものだが、今どきのアメリカでは少額の買い物はサインなしがほとんどになってしまった。

我が恩師の一人ガンドリー先生はいまだに執筆は（少なくとも決定稿を作るまでは）手書きだ。爺さんだからな。しかし、私らは初めからコンピュータの画面を見ながらでないと書けなくなってしまった。（影の声：綴りを間違えたら教えてくれるからだろう。影の影の声：そっ、それもあるが…。）だから文字通り、自分の名前（署名）を書くくらいが関の山だった。そっ、それが…ボールペンを持ってサインしようと構えていると、レジの方が「（少額ですから）サインはいりません」と冷たく言う。そりゃーね、貧乏人だから多額の買い物はいたしませんわ。悪かったね。