Comments by Dr Marks

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Tipping Point 補足:ごまかし口語英語のNo.14の補足として(コメント欄より)新訳語提案:黄泉比良坂(よもつひらさか)点なんちて

初めてコメントいただいたベン様のコメントと私の解釈を記事本編として載せます。コメント欄までご覧にならない方のためです。しかし、ベンって兄さん(日本語使い、東大アホー学部卒の馬鹿)じゃなかろうな。

はじめまして。面白く拝読.今回の「tipping point」のことですが、「頻度の高い表現なのに辞書をいくつか見たが出ていない」との由.なるほど「〜の先を行く』の意味の動詞「tip」であれば、載っておりませんが、傾く(傾ける)の意味の動詞「tip」であれば、「tipping point」は、「天秤などの平均点、分岐点」と記述され、中辞典レベルでも載っております.「限界点」も「分岐点」の比喩的用法と理解できます. いかがでしょうか?(ベン)

ベン様、ありがとうございます。ほう、それは何ですか?実は私も我が家に数ある辞典の中で大修館のGeniusの新しい版に見つけています。同じ辞典の古い版にはありません。英英ですとウェブスターのカレジエト10版でも出ていないのに。そして、そこでは tilt, tip over(傾ける、ひっくり返す)の意味の動詞の末尾に例としてありました。少々問題ありです。それなら、わざわざ tipping point などと言わず、tilting point でもよさそうです。
Ing には動詞語尾のほかに名詞語尾があります。Sweetening(甘味を加えること→甘味料)と sweeting(恋人→甘いリンゴ)の違いとして理解されるものです(ドイツ語のung 参照)。私は名詞語尾と考えます。Tipには「先端→細かな部分」という意味があり、そういう語感を込めると tilting point ではなく tipping point でなければならないのでしょう。つまり、細かなものが徐々に積み重なり、とうとう戻れないところまで来てしまうというような。もっとも、これは私の語感上の意見で、英語学者は別の意見なのかもしれません。
もう一つ、この新しいGeniusは「大きな転換点」という和訳を与えています。確かにそういう意味にもなるかと思いますが、この言葉を知っている(教育のある)アメリカ人に言わせると、単なる限界点 marginal point や分岐点 turning point ではなく、不可逆的(ireversible)であることが考慮されなければなりません。私もどういう訳語がいいのか考慮中です。MWW

結論ですが、辞書に載せるとすれば、疑問の余地のある動詞の意味細分項目下ではなく、独立項目でたてるべきかと存じます。しかし、まだ訳語定かならず。黄泉比良坂(よもつひらさか)点ってどうだろう。ここを過ぎたらこの世には戻れない。嘘。