Comments by Dr Marks

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アリゾナ話題でごまかすブログ:現行米国黙秘権告知はアリゾナ生まれ(ミランダ警告=ミランダの権利)と国境の町は米側メキシコ側どちらも逃れの町(二つのノガレス市)

やあやあ、今日は(西海岸時間12日)ロスアンジェルス市議会はアリゾナ民法を制定したアリゾナ州との諸取引を中止するかどうかでもめてるし、今日宅配の Newsweek 誌もアリゾナ州はボイコットとメキシコからの観光客減で大損するだろうと書いてあった。「何? メキシコから観光客も来るのか」だと? ああ、金を置いていくメキシコ人だっているんだよ。逆に、金持ちの日本人の中に貧乏人だっているだろう。金持ちのメキシコ人がいて何が悪い。今、カリフォルニアやその他のアメリカの不動産を買い漁っているのはメキシコ人の大金持ちだ。メキシコ、メキシコって馬鹿にするんじゃねー。(ましてや、メッキーなんていっちゃ駄目だぞ。あっ、教えちゃった。)

えーと、アリゾナ側もメキシコ側も19号線一本で繋がる国境の町はノガレス(Nogales)という名前だ。日本語頭ではどうしても「逃れの町」を思い出してしょうがない。えっ、逃れの町? それって何? そうくると思ったよ。教えちゃる。民数記35章、ヨシュア記20章、歴代誌上6章には、逃れの町(cities of refuge)が出てくる。誤って人を殺した場合など、復讐を恐れる場合はその町に逃れればかくまってもらえる(詳しくは聖書を読んでね:聖書を読ませる高等技術)。

しかし、逃れの町とノガレスの音が似ているのは単なる偶然で、nogales の意味はクルミの木のことで昔はクルミの木がたくさんあったのだろう。確かに、カリフォルニアでもノガレスという地名や、その英語型であるウォールナット(walnut)という地名も多い。(まっ、今でもあることはあるのだろうな。)このノガレスという同名の町が国境をはさんでアリゾナにもメキシコにもあるのだ。

どちらもノガレスの町の税関を通って出入国することになる。不法に国境を越えることばかり話題にしているが、ここを合法的に通過するメキシコ人のほうが圧倒的に多い。ただし、そのまま不法に居続ける者も多いのではあるが。最寄の大都市はツーソン(Tucson)だ。タクソンではないぞ。余は、子供のとき上海を「うえうみ」と読んで笑われたことを書いたと思うが、実は他にもある。ツーソンを「タクソン」と読んで笑われた。

ミランダの権利(Miranda rights、黙秘しなければ不利になることもあるという警告と黙秘する権利=right to silence)について書くのを忘れるところだった。アリゾナ生まれのメキシコ系アメリカ人でミランダという名前のどうしようもない(ある意味で不幸な)男がいた。泥棒で捕まったのだが、憲法修正第5条で保証された黙秘権について知らされずに供述したのだから無効だといってアリゾナ州を訴えた。連邦最高裁で彼はアリゾナ州に勝った。その後、アメリカの警官はすべて、逮捕した被疑者に供述させる際は、その旨必ず伝えるようになった。普通、映画などでも見るようにカードに印刷した文章を警官が被疑者の前で読上げる。

ところで、このミランダ君だが、賭博のことで喧嘩になり、刺されて若くして死んでしまった。犯人は二人いて、一人はすぐに捕まった。もう一人は、堂々とノガレスの国境を越えてメキシコに逃亡したので捕まえることができなかった。いまだに捕まっていない。ああ、ノガレス、おお、ノガレス、逃れの町よ。