Comments by Dr Marks

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J'ai vu un film(映画観たよ、メモリアル・デーなんでね)シャミール監督の『検問所(The Checkpoint)』イスラエルに雪が降ってるシーンがあるのでヨウツベで紹介するね

初めのフランス語が意味不明かもしれないが、映画なら何となくフランス語にすれば日本人は「あったまいいー」と勘違いしてくれるから。ホントはこれ以外のフランス語フレーズは「めるし僕」くらいしか知らない。

冗談はこのくらいにして、今日はメモリアル・デーという日本に比べればはるかに少ない合衆国連邦休日の一つ。午後は映画の一つもDVDで観べーかとしたわけ。観たのは2003年リリースのイスラエル人ヨアヴ・シャミール(Yoav Shamir)の作品で『検問所(The Checkpoint)』というドキュメンタリー作品。

2001年から2003年にかけて、イスラエルパレスチナ自治区イスラエル政府地区の間にあるいくつかの検問所を流し撮りした映画だ。それだけなら紹介することもなかったが、数日前にTwitter で「ベツレヘムでは温かいところなので雪は降らんだろう」というつぶやきに接し、驚いて「余は2000年前は生まれていなかったので見てきたような嘘は言えないが、現在のベツレヘムならちゃんと雪降りまっせ」とつぶやいておいたので、証拠写真代わりにしようと思ったからだ。こんなにちょうどよい画像はあまりない。

ベツレヘムでも、エルサレムでも、ゴラン高原ヘルモン山ならなおさら、この映画に出てくる雪のシーンは死海に近いラマラーの町で、もっと温かいところだが、ご覧のように雪は降〜る♪。アラブ人が検問兵と雪合戦しながら目と目の間を狙えなどと(冗談で)ぶっそうなこと言ってるシーンをお楽しみください。

さて、この映画だが、シャミール監督自身が検問兵として従軍したことがあり、そのときの体験がこの映画を作る動機だったそうだ。映画に一切ナレーションはなく、初めに簡単なイスラエル人とアラブ人の軋轢の紹介があり、この映画が撮られた時期(2001−2003年)と検問所の字幕説明があるだけだ。

当時は 9.11 の後であり、また日中でも突然外出禁止命令が出ることもあり、検問所を通ってパレスチナ自治区イスラエル地区を往き来して生活するアラブ人たちは、非常な不便を強いられた。もちろん彼らは今でも不便である。このような検問所がなくても、夜間になるとエルサレムの街中でも、例えば獅子の門を使って市内と市外に往き来するアラブ人はイスラエル兵によって身分証明書を提示させられるし、疑われれば、朝になるまで自宅に帰れなくなることだってある。

そのような可哀想なアラブ人とともに、監督は年の若いイスラエル兵が、「俺と議論しないでくれ。俺のせいじゃない。決まりなんだ。命令なんだ」と何度も繰り返す様を撮り続ける。彼らは、アメリカの兵隊から比べればはるかに貧しい食事を与えられ、暑かったり寒かったりする中で国民としての義務を果たしている(兵役義務)。自分でも嫌になるのか(それが監督の思いなのだろうが)「あんまり悪者に映さないでくれよな」と冗談半分にカメラマンにお願いしている。

確かに、アラブ人たちに「テロリストが(正規の)検問所を通るか!」と怒鳴られたり、キリスト教の牧師と一緒に写真に納まろうとした兵士が「銃や鉄兜を被った者と写真など撮りたくない」と拒否されたり、チビのアラブ人のおっさんに「通れないことよりもお前に銃殺されるほうを選ぶ」と脅されたり、通過する女の子に気に入られようとするがお呼びでないとか、更には、アラブ人にまくし立てられて「アラビア語はわからねー」とか、同じくアラブ人に英語でもまくしたてられて逆に英語で上手く説明できず「こんな言葉は頭が混乱するだけだ」と泣き言をいうシーンが続いていく。

YouTube で全篇(1−8)観られるようだ。字幕がドイツ語だが、英語のものも見つかるかもしれない。