Comments by Dr Marks

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20年で14人という首相生産性の高さは国際的な信認を失墜させるか?

えっ、て日本の話だよ(日本経済新聞電子版2010-08-01付http://bit.ly/cLANI8

本当はそんな見出しではない。同社の岡部直明が「日本、世界での存在感低下、ジワリ衰退、危機感薄く」という見出しで書いた記事の中の一節が「首相生産性」という皮肉だ。南カリフォルニアという日本人がたくさんいる地にあって彼ら日本人を見ていると、かつてのような信認をアメリカ人から受けているようには思えない。戦前からいる日系アメリカ人の地位は徐々に高まっているのに、アメリカに暮らす日本人はますます信用の置けない者たちとなっている気がする。

もちろん、日経の岡部は経済が専門であるから、この記事も経済記事であるし、その面から見なければいけないのであろうが、余は経済を云々する能力も気もない。古風な言い方であるが、多少の煙草銭程度を稼ぐために株価などを気が向けば見ているだけの経済素人である。そうだ、かつて余はトヨタ株を売ったとブログに書いたことがあるが、実はそのときの売値より下がったときに(トヨタの信用もなくなったからね)同数の株を買い戻した。まあ、その程度の(小学生程度の)経済に対する関心だから、日本人の能天気にだけ的を絞る。

岡部は、政府も国民も楽観的すぎるのか、問題は「日本人の多くが危機感を覚えなくなっている」ことだと書いている。同じことは在米の日本人にも言えるかもしれない。日本の景気が良かった頃に渡米したりあるいは活躍していた日本人の多くが、アメリカに同化することなくアメリカの快適な生活を享受しているが、人々が奇異の目で見ていることに気付かない。今後ますますの日本バッシングに繋がりそうであるのに、危機感がないのである。

普通に外国からの移民なら手続き上初めは永住権を取得する。しかし、なるべく早くアメリカの市民権を取得するものなのだが、戦後渡米した日本人の多くは死ぬまで永住権のままであり、市民権を取得してアメリカの政治に参加するつもりもない。むしろ、在外選挙を実現させるために奔走したのは彼らであり、南加東大会の会長などはその筆頭である。日本に暮らす予定はないのに日本の国政に参加して、アメリカの政治については野次馬のままなのだ。

日本は二重国籍を認めないなどを理由にしていることは知っているが、日本以外の国の在外選挙規則では、帰国予定者以外は選挙させないことが多い。その基準でいけば、死ぬまでアメリカにいるつもりの者に選挙させてみても仕方がなかろう。自分たちや子(や孫まで)が恩恵を受けた国(米国)に実際に暮らして、老後は更に年金(SSI)や老齢健康保険(Medicare)に頼って生きていくのに、アメリカの国政に参加せずに、何ゆえに異国同然の日本の選挙を求めるのか。

これを不可解な国民の不可解な行動と生活様式とみて、合法的集団スパイの居座りと認識されていることに危機感を抱かない。なるほど、観るテレビも有料で日本のケーブルテレビだけ、アメリカの生のニューズなど見てもいないとなれば、危機感など抱くはずがない。立派な日本租界に暮らす薄気味悪い集団なのだ。ニューヨークやカルフォルニアなら、英語を一切使わずに日本人コミュニティーで生きていくこともできるのだから呑気なものだ。

この岡部の記事の中に、行天豊雄の分析らしいが、冷戦終結グローバル化という大転換を意識できなかったのは冷戦時代に緊張感がなかったからではないか、というものがあった。戦前の日系アメリカ人は緊張感の中で生きてきたが、戦後の日本人は平和ボケ(単純に戦争反対と言っていれば平和が来ると思っている低能を平和ボケという)の中で、村上春樹の小説とか宮崎駿のアニメなどの荒唐無稽なノホホン生活だ。緊張感が何か知らないのだから危機感など持てまいな。

この間、沖縄出身の在米者に面白いことを聞いた。ロスアンジェルスにいると日本に暮らしているみたいで、日本のテレビを観、日本語で話し、日系マーケットで日本食を買っている。しかし、沖縄に戻ったら、まるでアメリカみたいで英語を使う機会が多かった。だから、沖縄の人は建前では基地反対だが本音は違うのがよくわかる、だとさ。まあ、全部とは言わなくても一部は確かにそうだわな。沖縄での参院選の結果が示しているもん。沖縄人は危機感あるんだ。

そうそう、今日の日経の社説にはアメリカ経済の減速にも気をつけろと書いてあったぞ〔http://bit.ly/cXntFj〕。アメリカで発言権なく(投票権なく)暮らしている日本人、やばいぞ、やばいぞ。