Comments by Dr Marks

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もう一つのモハメット本、マーティン・リングズの『マホメット:初期文献に基づく生涯』について書く予定が・・・私事ですまん

なにもじらすつもりはないのだが、面倒でもう一つのマホメット本の紹介をまた延ばしてしまった。生来なまけものに加え、私事でいろいろあったりするとどうしても滞ってしまう能無しである。今日、本の名前と著者名だけ明かしておく。実は、今日書く予定だったのだが、書いているうちに横道に逸れてしまい、それが長くなったので、本の紹介は別立てにすることにした。脱線は、こんなあんばいだった。

・・・またまた話が横道に逸れてしまうが、親類の医師の葬儀には家人が出席することになった。飛行機で行かなければならないような遠方だ。余は急に休めない仕事があるのと猫の世話で行けない。飛行機代も掛かるし、貧乏だから。余は日雇いだから休むと収入もなくなるのよね。

故人は83歳の現役外科医。倒れたときも日曜なのに病院長という因果な役回りを押し付けられていたので出かけたらしい。昨年は92歳まではやろうかななどと言っていた。元気なので実際にそうなるだろうと思ったのに、もっと年上の兄や姉が存命なのに、先に召されてしまった。今までにおっぱいの手術を2,700件以上手がけているらしい。おっぱいといっても整形外科ではない。乳がん手術のの専門家だ。(あれっ、なんでおっぱいなんだろ。)

彼の方針は、ただ切り取るのではなくなるべく残し、病巣だけは完全に取るということだった。当たり前の方針だ。しかし、実際にメスを振るう者には言葉だけではなく緻密な実行力が求められた。患者が一定の安定を術後取り戻すまでは絶対に帰宅しなかったという。そしていつも、後は医術では無理です、神様が造ってくださった自然治癒力に委ねますが口癖だった。朝早く出勤して夜遅く帰る生活で、余など、ふん、因果な詰まらん仕事だなと思ったものである。(嘘)

だから、人生で一度も休まなかった。海外旅行だって学会に出席するついでしか行ったことがない。行くつもりもなかったらしい。本人はそれでいいのだから仕方がない。しかし、奥さんは、と思うが、この方ももともと医師の家に育ったので、彼の生き方や生活が当たり前だと思っているお目出度い人だ。嘘、それは冗談で、素晴らしい助け手であり伴侶だと思う。かつて、余が病気のことで留守宅に電話したときも、まことに的確なメモの取り方と応対だった。メモで復唱してくれたとき有能な秘書であることがわかった。

貧乏牧師の息子だった。いつ勉強しているのかわからないくらい家の仕事も手伝ったそうだ。力仕事もした。そういえば、確かに体格もよかった。家の仕事ってね、プロテスタントの田舎の小教会ならファミリー・チャーチング・ビジネスでっせ。父ちゃんが説教、母ちゃんがオルガン、そんで息子と娘が・・・、というわけで彼はコルネットを吹いていた。演奏で好きだったのが Stand Up, Stand Up for Jesus だったというわけだ。しばしの間、さよならドク・I さん。

ドクはドクターの略だけど、そういえば独語(ドイツ語)習ったはずなのに下手だったな。余が行くまで天国でドイツ語勉強しておいてよ。とくに発音、ねっ、おじさん。