Comments by Dr Marks

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ベル市に隣接する町にヴァーノン市というのがあるが、住民は100人に満たない。するとどうなるか。選挙操作が極めて簡単。

まあね。住民100人未満なら、日本では「市」になる基準ではない「村」だろうから、選挙操作があったってなんてーことはないだろうと思うだろう。ところが、ヴァーノンは小さな「村」じゃない。日中の人口が50,000人を超える工場・輸送・倉庫、その他の産業で栄えている「市」なんだ。

Twitter で久しぶりの「共観福音書シリーズ」で1世紀と2世紀の境目で活躍したヒエラポリスのパピアス(ローマ・カトリックおよび正教会では聖人)をやると宣言してみた。何しろ、この重要人物についてはウィキペディアの26か国語で項目があるのに日本語ではないからだ。(http://en.wikipedia.org/wiki/Papias_of_Hierapolis

しかし、ふとヴァーノン市はどうだろうかと思った。あっても英語だけだろう・・・と、なんと英語を含め14か国語で項目が立っている。(これも日本語はない。http://en.wikipedia.org/wiki/Vernon,_California)もちろん、この町はアメリカ史上の古戦場で、カリフォルニアがメキシコからアメリカ領になる前の年(1847年)に激戦があった場所だから歴史の町としても有名である。なにしろここはロスアンジェルスの中心街の南の玄関に位置するところで、米軍と墨軍が決死の戦いをした。

ロスアンジェルの中心街の南といえば、先般、べらぼうなお手盛り給料で話題になった(お手盛り野郎たちはその後逮捕起訴、http://d.hatena.ne.jp/DrMarks/20100720/p1参照)ベル市があるのだが、ヴァーノン市もベル市に隣接する。しかし、ヴァーノン市にはベル市のような問題はない。あるのは、現在も問題となる選挙不正の歴史である。なにしろ2000年の国勢調査では住民がたったの91人、今も100人以下であるから、簡単に操作できるのだ。

しかも、住人のほとんどは市の職員だから、ますます操作しようと思えばできないことはない(実際していた)。一世帯平均3.5人くらいの市で、世帯当たりの年収は6.5万ドルくらいだからそれほど裕福なわけではないが、いわゆる貧乏世帯(この市の平均世帯で年収3万ドル未満)はない。しかし、ただ同然の電気代やガス代に加え、独自の医療施設を持つなど福利厚生はすごい。

また、この市の住宅のほとんどは市の所有であり、市の職員は、これまた格安の家賃で住むことができる。しかし、退職と同時に市営の住宅を去るから65歳以上の市民は子供と暮らす人などに限られる。つまり、極端に少なくなる。夜間は人口が少なくなり、地の利と市の優遇措置で多くの商工業施設があるため、消防や警察にはふんだんに金を使っている。

市の幹部は領主様のようで、市の職員は家臣団のようだと皆が言う。市民にアジア人や黒人は極端に少なく、ラティーノが多い。ロスアンジェルス地域にあるメキシコ藩のようなものだ。