Comments by Dr Marks

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ピンからキリまであるロスアンジェルス(L.A.)のケイタリング・サーヴィス(仕出屋さん)

イスラエルの話を約束していたが、今朝はふと哲学というか哲学史について書いてみたくなった。それはTwitterで人生や権力や正義などが話題になったのと、青龍(@deepbluedragon)さんや加来彰俊先生や竹田寿恵雄先生などを何となく思い出したからなんだ。学部時代に哲学を専攻した者として、その後の生活と「私思想」という点から、改めて「哲学とは何か」について書き散らすのも面白いかと思ったのだ。

どのように書くか。まず、自分のことを書く前に、ディオゲネス・ラエルティオスとエドムント・フッサールは必要だろうな。日本語にしようか、やっぱり英語かな、書き始めてみなければわからないな。そんなふうに考えていて夕刻になり、夕餉の支度をしているときに、今日念頭にあったこととはまったく違う話を思いついてしまったのだ。考えてみれば週末だ。こんなどうでもいい話題でもよかろうと思った。ひょっとして初耳の人もいるだろうし。というわけで、イスラエルの話でも哲学の話でもない。

L.A.のケイタリング(catering、仕出し)業界は変化に富んでるぞ。もちろん種々の(あるいは各国の)料理が食べられるということもあるが、廉価なものから高価なものまであるのだ。もっとも、廉価なものから高価なものと言えば、そういうことなら東京にもあると言うかもしれないが、中味を聞いてから「東京にもある」というのを教えてくださいな。

あまり細かに述べるのも煩雑なので松竹梅で説明しよう。まず、松がピンで最上と定義しておく。梅がキリで最下だ。竹は中間。梅から説明しよう。しかし、我が家が何かパーティーでもするとして、可能なのは梅程度なのだが、梅でさえ頼んだことがない。梅以下だ。梅以下とは何かというと、テイクアウトとかトゥゴーというやつで、お持ち帰りを自分で買ってくるものだ。

梅とはそれよりちょっとましで、食事セットを注文主の予算に合わせて用意し、届けてくれるサービスだ。予算に合わせて持ってきてもらうのだから、場合によってはレストランに招待するよりも安いかもしれない。中間の竹だが、これをやるような人は、少なくともプール付きの広い裏庭がある人であろう。料理だけではなく、料理したものを温めて供する人々や、給仕人、バーテンダーが屋台と一緒にやってくるスタイルだ。 

ええーっ、その上があるの? あるんだよ松が。それを今日紹介したかったんだ。お馴染みになっている依頼人ならいつもどおりで済むのだろうが、初めてなら営業がシェフと一緒に訪れ、段取りと見積もりと点検をする。この場合のミソは、彼らが依頼主の調理道具・調理場・什器の種類と数を点検することだ。仕出屋なのに何でそんなと思うだろう。無理もない。L.A.なら、そんな家庭はざらにあるが、東京では限られるだろうから。

どんな家庭かといえば、まず、50人とか100人とかが座って食事(sitting dinner/sit-down dinner)ができる大広間があるような超金持ちの家だ。天気のいい頃なら屋外でもいいのだろうが、そんな立食・屋台風(buffet style)ではなく、着飾って座るようなパーティーだな。そして、什器のほとんどは、その家の所有するもので、皿一枚、カップ一個が、もし誤って割れば即「番町皿屋敷」になるような品物ばかり。調理場だって調理用具だってレストラン並みにプロ仕様である。

ただ、夫婦二人とお手伝いくらいの家が多いので、本格的なシェフまでは雇っていないというだけだ。だから、クリスマスとか何かのオケージョンにだけ、シェフと給仕人やバーテンダーとソムリエを臨時に雇うわけである。ワインも自分のワインセラーから出させるというのもミソだな。もちろん注文のパーティー料理を賄いきる調理用具や什器があるとは限らないので、仕出屋が持ってくる必要もあることから、事前に下調べするわけだ。

そういうことを取り仕切ることができるのは、有能な奥様であることも多いが、こういうことができる連中は会社のオーナーであることが普通だから、会社の慣れた人間が、主人に代わって仕出屋と交渉することも多い。こういう最高級の仕出屋は、最後に厨房や調理用具や什器を完璧に磨き上げて帰る。家の女中がいい加減に洗っていたものでも、ピッカピカにして帰るのだ。それだけでも価値があると言っていた奥方がいたな。

んっ、それでどのくらいの費用? そんなの知らん。余は聞くもんか。余のような貧乏人が聞いてどうする。もし、あんたが本当にやりたければ仕出屋の連絡先は教えてあげるよ。いつもやってる奥さんに聞けばいいから。ゴールド・ディーラー(金商人)の奥さんだよ。