Comments by Dr Marks

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「メリークリスマス!」と言って何が悪い

DrMarks2007-12-15


先日、ビヴァリーヒルズで買い物をした。いくら貧乏人でも年に一度くらい散財する。しかし、あの街は高いが品物はいい。しかも、日本の同じブランド物よりは安い。安いといってもちょっと買っただけで数千ドルにはなる。買ったものの寸法直しは只だが、針子には直し賃より高いチップをはずむのも習慣だ。直したものを受け取るだけならそれで済むが、針子立会いのほうが駄目出ししやすいし、針子も確実にチップがもらえそうな客が受け取りにくると必ずしゃしゃり出てくる。1ドルのTシャツ姿で金がないことを強調して出向いたのだが捕まってしまった。

しかし、満足のいく出来だったので礼を言ってチップを渡し、ネクタイとワイシャツ3枚買うのに付き合わせた。帰り際、針子も売り子も Happy Seasons! 何だ、この野郎、Merry Christmas! と言え、と怒鳴ってやろうと思ったが、根が優しいもので(←意気地なしの弱虫とも言う)、私は Merry Christmas! と言うほうが好きですと言ったら、安心したように Merry Christmas! と返してきた。

この街はユダヤ人が多いし、リベラル派民主党も多いので、店として Happy Seasons! と言えと指導しているのだろうが、近頃は本当にやりすぎである。実際、Happy Hanakkah! とか、それに類する伝統的なものなら構わないが、Happy Seasons! って何だ。(←そういえば、ブッシュ大統領から共和党員に来るクリスマスカードにさえそう書いてあったな。ああ、嘆かわしい。)しかも、日本でも真似をしているというからここに書いているのだ。(昨年は、本家でも書いたな、確か。)

紀元前は元々B.C.紀元後西暦はA.D.なんだ。何が、今頃になってBCEだ、何がCEなんだ。そう言うのが学者の言い方だと勘違いしてやがる。文部科学省のお役人さん、真似をするんじゃないよ。俺は、死ぬまでB.C.とA.D.で通してやる。数字だけ借りておいて、名前を勝手に変えるとは何事だ。

差別用語だって同じこと。先日、本家でベルボーイがベルマンになって今は誰でもベルキャップテンになってしまった馬鹿さ加減を書いたが、学校の用務員さんにあたる人をこちらでは janitor(ジャニター、ちゃんと-or-と綴る由緒ある職名)と呼んでいたのに、いつの間にか custodian(カストーディアン)と呼んでくれとのお達しで、今頃はそれも差別とかでメンテナンス・スタッフだってさ。いい加減にしろと言いたい。

教会にインディアンの酋長の血を引くヴォランティアのおじさんがいた。残念ながら昨年亡くなった。彼は、渋い声できれいな発音の英語を話す(←子供の頃は部族語を話したが、学校で強制的に英語を話すように指導された)。事務室で電話番をしていると、よく電話の相手が「牧師さんですか」と聞くらしい。聞かれた彼は、本当は教会員としてヴォランティアで奉仕しているだけなのに、いつも「教会の小間使い(janitor)です」と応えていた。ジャニターを卑しい者としたのは卑しい根性の人間のせいだ。(看護婦あるいは看護夫が看護師になったから偉くなったわけでもあるまい。)

メリークリスマス! と言ったからといってキリスト教徒による非キリスト教徒に対する批難になるのか。ジャニターと言ったからといってその職を辱めているのか。言葉や表現の小手先で人の感情を害さなくできるとでも思っているのか。口先だけで、心はどうなんだ。ポリコレの皆様方よ。

片目(←差別用語だって)の男、記す。(右上は、沃徳曼馬克博士の眼鏡も黒眼鏡もない裸眼の珍しい写真。片目であることが明瞭。)