Comments by Dr Marks

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学問の自由と言論の自由―私立大学と私的ブログへの若干のコメント + Two and a Half Men


以下のこの記事を書いた翌日の午後、小谷野先生が「0.5人」という記事を書いておられるのを見つけた。先生が、0.5 の別な状況を面白く書いてくださったのを読んだとき、今朝の我が家の会話を思い出した。

私が今朝、細君に今日のこのブログの話題を伝えたときに、細君は「ああ、Two and a Half Men ね」と言うではないか。私も、ああそうだ、と思った。これは色々な賞をもらった sitcom=situation comedy テレビ番組の一つで、ここでハーフとは真ん中のガキ Jake 君のこと。確かに、食べ放題のレストランに行けば、ガキは半額だったりする。しかし、近頃は飛行機などでも、ガキを膝に乗せて座席を取らないようにしない限り、料金は一人分いただく。

しかし、言外に(多分、小谷野先生はそのつもりだったと思うが)、あの青学のセンセの命一人分の大人と半分の子供という論理はこんなところにあるのだろう、という皮肉とみた。あるいは、一寸の虫も五分の魂だから、背丈に応じて命の大きさは違うのかな。

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寝そびれて起き出し、メールチェックの後でブログを二、三見ていたら、青学のセンセがブログで変なことを書いていて炎上し、今度は学長がそれにコメントしたという「本学教員のブログ上の記述に関する学長見解」に批判続出という<事件>を知った。このセンセのブログは直接読むことはできなくなっていたが、引用してくださっている方々のブログ等で見る限りでは、その内容の過激さというより悪趣味は、なんともはやコメントもできない代物であった。

ついでだが、このセンセの自己紹介の「ひとこと」というのも気が利かない不思議な文章だが、アメリカの大学でのリサーチアシスタント(RA)とかティーチングアシスタント(TA)をやったことまで職歴に書いていたのも不思議である。まあ、大学に職を求める場合、具体的な経験を少しでもアピールするためには、採用側に出す書類に書いてもいいかもしれないが、万人が見る教員紹介ページの「職歴欄」に書くものであるのか、はなはだ疑問だ。だって、これって、大学院の留学生に合法的に働かせる(work permits for international students)ことのできる学内作業(working-on-campus)の一つで、図書館のパートやジャニターのパートと本質的には変わらないものだもんね。まっ、なかなかできるTAやRAがいることも確かだが、あくまでもお手伝い。採点の真似事などをさせることもあるが、教授がちゃんとTAをチェックしないでいると、TAを凌ぐ優秀な学生にTAの採点の不備を指摘されて教授が困ることもある、そんな程度の役割だ。因みに、講義をすることは絶対にない。講義をする大学院生は講師(instructor、lecturer、adjunct professor)の肩書きなのであって、これは堂々の「職歴」と言って構わない。

半分寝ているので話がそれてしまった。話を戻す。

学問の自由とか言論の自由だが、これらは人間に無条件に備わった天賦の権利ではない。「学問の自由(academic freedom)」は、歴史的には、政府がスポンサーとなるドイツの大学制度から来るのであろうが、一般的には「言論の自由(freedom of speech)」という社会的申合せの一部と捉えられているにすぎない。わが国では憲法修正第1条を法的根拠とするので、公立の大学教師が思想信条を問われることはまずない。しかし、私立大学は一般的に例外とされる。つまり、私学は建学の精神などに則り教授するのであるから、教員が就業規則(faculty handbook 等)に沿わない場合、改善勧告ができるし、必要なら辞めてもらうことも構わない。青学の学長は、具体的な議論に入り込むのではなく、簡潔にその旨(私大としての方針)の表明を公にしただけなので、アメリカなら当たり前のことである。

更に、言論の自由が無制限ではないように(社会の安寧秩序に明らかに反するような言動などの禁止)、学問の自由は学問する資質のある大学、教員、学生に与えられるものであって、あのセンセにその自由を与えていいものかどうか、いささか疑問。私的ブログならいいではないかとも言えそうだが、具体的な大学の名前を背負ってのブログなら、学長の介入はやむをえないであろう。馬鹿には学問の自由などありえないし、あれほど人間の生命を軽視したテロリスト的発言には、言論の自由を与える必要などないからだ。

まっ、その点、大学の先生なのに匿名でこそこそやっている人よりは潔いかもしれない。そういえば、匿名のブログに対して、自分も匿名なのに、「<正式に>謝罪しろ」なんて言って、猫猫先生に「バカが意見を言っているいい例だ。ほら、誹謗中傷したから、正式に謝罪を要求して来い。」なんて、からかわれているブログも見たな。もう寝る。