Comments by Dr Marks

出典を「Comments by Dr Marks」と表示する限り自由に引用できます

脳死と触診性―finalvent さんのブログにコメントして(←finalvent をクリックしてください)

下に、いよいよ最終回に近くなったヴァメーシュの近刊『イエスの復活』の新しい記事を上げておいた。その中で、ユダヤ教の復活観について述べた段落で触診性(palpability)というめずらしい言葉をヴァメーシュは使っている。もっとも大層な意味はなく、触知性(tangibilityと同じで、どちらも明白に自分で触って知ることができる、という程度のことである。

しかし、これは大事なことだ。どんな高等な理論も、触診性あるいは触知性から始まる。その意味ではカントの認識論は正しい。そして、人間が生きているか死んでいるかだが、ユダヤ教は脳が死んでも死んだとは思わない。肺と心臓が生きていれば生きているのだ。唯脳論じゃないんだよ。

いわゆる植物人間状態の人を訪ねることがある。手にさわり、足をさすると、とても温かく、ときには肉体の反応がある。しかし、医師は脳が死んでいるとして、延命装置をはずす。温かみは消えていく。葬儀で私が死者の額に十字を切るときは、とても冷たい