Dr. David M. Scholer―私の大好きな先生が亡くなった
今日、David Milton Scholer(1938-2008)先生の葬儀があった。先生のドイツ由来の名前の本当の読みはショーラーだが、ふざけて英語読みにして、ドクター・スカラー(学者博士)と渾名されるほどの学識があり、ハーヴァード流の諧謔に富み、学問には厳しかったが、学生にも、そして誰に対しても優しかった。先生は誰に対しても先生だったが、とくに先生になる人のための先生として神が私たちにくださった贈り物のような人だった。
先生は私の第二指導教官(second mentor)だった。新約聖書学者で、グノーシス思想研究が専門だった先生が私を指導することになったのは、理論神学を主専攻とする私が、無謀にも新約聖書学をも射程に入れた研究に入ろうとしているのを見かねたからだ。多分、いや間違いなくいい弟子ではなかったが、いつも笑顔で接してくれた。
千人以上の参列者で混雑する中で、奥様のジャネットと静かなところで偶然会えたことは幸いだった。気丈にしていたが、目は涙で潰れたようになっていた。式中に黒人男性のソロがあった。曲目は "Precious Lord, Take My Hand"(日本語聖歌:慕いまつる主なるイェスよ)だが、歌詞がつらい。人非人の私は涙など出ないのが常だが、今回はまいった。父の死以来の例外だ。学生のときに父を失うのはいろいろな意味でつらいのだが、下のお嬢さんのアビゲイルもまだコロンビア大学の博士課程の学生だな。かわいそうに、ずっと泣いていた。いい論文を書けよ。
Precious Lord, take my hand,
Lead me on, let me stand,
I am tired, I am weak, I am worn;
Through the storm, through the night,
Lead me on to the light:
Take my hand, precious Lord,
Lead me home.