Comments by Dr Marks

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RNC(Republican National Convention、共和党全国大会)−今夜は非政治的こぼれ話のみ(政治嫌いだから)+ 演説そのものが動画でリリースされたのでオンする


これが今夜の演説だ―たった今リリースされた(省略なし!)

 

おまけ:Fred Dalton Thompson's Best Movie Moments

実際は今日が二日目だが実質は初日。すでに何度も書いたように、貧乏な我が家にはケーブルテレビがない。だから24時間のニューズや党大会の詳報は入らない。テレビで観るかネットで見るかだ。どうせ忙しいのでその程度で十分だが、一般テレビで見せてくれるのはほんの一部であった。

それでもフレッド・トンプソンの演説とジョー・リーバーマンの演説の一部は聞くことができた。リーバーマンは、メディアが副大統領候補の一人と見ていたようだが、それは元々ない。彼は民主党からインデペンデントに鞍替えしたが、共和党員ということでもないし、マケインとリーバーマン二人が穏健派では共和党員に不満が出る。しかし、彼は演説で、ワシントンはアメリカ市民同士、共和党民主党が戦っていて、戦うべきアメリカの敵と戦っていない、と言っていたが、そういうことはインデペンダントだから言えるのかもしれない。

リーバーマンは、自分が共和党員ではないことから、いわゆる「お国を第一に(Country First)」のスローガンに合わせ、「党派よりもお国が大事(country matters more than party)」とぶっていた。また、後半で、マケインの「大衆の意見に抗しても正しい判断を」みたいなことを言っていたが、へたすると逆効果だな。頑固オヤジなんてことにならなければいいが。

面白みではトンプソンのほうが断然いい。どちらかというとフォーマルな言葉遣いはしない。日本語で言えば、べらんめいな口語的表現が目立つ。語りが小気味いい。それもそのはず、彼は映画俳優だろう、とおっしゃる方も多いはず。そう、そのとおり。そういうあなたは映画通。渋い、強面(こわもて)の性格俳優ですよ。

しかし、違う。彼トムプソンは、本来は弁護士でロビーイストだ。また、テネシー州選出共和党上院議員として9年やっている。大学で哲学と政治学を専攻したもともと政治大好き人間だ。その大学には、高校を卒業してから昼は郵便局員、夜は自転車の組立工として働いて金を貯めて通った。更に、奨学金を得てロー・スクールを出た頑張り男だ。俳優はむしろ余技。

トンプソンの演説も中心はマケインのことになるのだが、冒頭でセイラ・ペイリンにも触れた。その中で、彼女はサンデー・トークショーやワシントンの社交界の女ではなく、現実に政治の舵取りをしてきた女であり、それについて大騒ぎしている首都ワシントンの評論家やメディアで大物ぶっている輩に、ざまあみろ、とやって大喝采

演説の中心となったのは、マケインの大統領にふさわしい資質についての賛美であるが、それは当たり前の内容になるのでここには書かない。例えば、戦傷と捕虜として北ベトナム抑留中の話などである。(彼の右手は今でも上に上がらない。)その代わり、私も知らなかった彼の面白い家系アナポリス海軍兵学校士官学校)在学中のエピソードを紹介する。彼の家系は独立戦争以来の軍人の家系だが、祖父の代から彼まで、そして現在は彼の息子もアナポリス海軍兵学校で学んでいる。

ウェストポイントの陸軍士官学校もそうだが、入学の難易度は一流大学並と思えばいい。私がかつて臨時で教えたことのある女子高校生は、一流大学には合格したが第一希望のアナポリスは駄目でがっかりしていた。彼女はアナポリスはもう一回だけ受験させてくれると言っていたが、その後はどうしたかわからない。ともかく、入学の難しい学校だ。(どちらも給料をもらって勉学できることは、日本の防衛大や防衛医大と同じ。)

私はマケインが成績不良者で、下から5番目くらいで卒業したくらいのことは知っていた。しかし、彼はそれ以上の札付きだったらしい。そして、これも初耳だったが、彼の父親もアナポリスの記録保持者だったらしい。実は彼の父親は米国海軍のナンバーワンだかナンバーツーに上り詰めた人なので、よくあるように優等生かと思っていたのだが、この父親自身が反抗的学生だったらしい。

トンプソンの紹介によると、この父親は、最初の1年間で333の罰則点(demerits)をもらったアナポリスの記録男らしい。そして、この記録を破ってしまったのが、誰あろうジョン・マケインなのだ。しかし、破廉恥な悪行はなかったらしい。アナポリスでだけではない。ジョン・マケインは、高校時代から(成績は悪くなかったのであろうが)トラブル・メーカーであった。いや、トンプソンによると、単なるトラブル・メーカーではなく「トラブル・メーカーの頭領」の今が、大統領候補マケインらしい。今じゃトラブルとは無縁の好々爺にも見えるんだがなあ。

以上を書き終わってから省略なしの全部を動画で初めて聞いた。コルヴェット(船でなく車のほう)を乗り回して女のお尻を追いかけたり大変なmidshipman(海軍士官候補生)だったようだ。ともかく抱腹絶倒。捕虜中の生活は大変だったな。