Comments by Dr Marks

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It's Not the American People's Fault (Sarah Palin)

忙しい日だったが西海岸時間6時からのたった1回限りの副大統領候補同士の討論に間に合うように帰宅した。バイデンおじさんは下手な芝居を見せてくれたりしたが、根の良さそうなおじさんで、ペイリンに対する意地悪はなかった。バイデンおじさんは、むしろ、マケインの投票データを間違えていたことを直後に識者に指摘されてかわいそうなくらいだった。

実際、この討論で立場が変わる人は少ない。とくに今回のように、どちらも決定打がなく、決定的なミスもなかった場合はそうだ。討論は駄目だろうとの、悪い前評判どおりではなく、かえってペイリンが(私としては予想どおりの)なかなかの良い討論であったことは、むしろ彼女の得点となったと言えるかもしれない。

この討論の全体像は一般紙で発表されるだろうし、私には全体を論ずる時間的な余裕はないので、印象的なペイリンの言葉だけ紹介して終わりにする。「アメリカの人たちが間違ったのではない」というのは経済の躓きのことだ。ただし、この後に「よい学びであったから、二度とそうならないようにしよう」が続く。彼女が例に出したように、10万ドルの家を買う能力しかないのに30万ドルの家を売ったり買ったりすることは今後改めなければならない。

こんな細かな話は新聞に載らないだろうから、バイデンの下手な芝居の一つを紹介することにしよう。家の近くのガソリンスタンドで、バイデンがジョーイという男に何ドルくらいガソリンが入るのかと聞いたそうだ。ジョーイは、わからんのだよ、と答える。バイデンは、どうして、と聞き返す。するとジョーイは、満タンなんて入れたことがないからね、と答えるという話だ。バイデンが、自分でガソリン入れに行くのかよ。臭い話だ。まあ、いいけど。

それに、バイデンは近所のミドルクラスと盛んに言っていたが、そんなところに住んでいるのか。まさかね。35年も国会議員をしている人が。市会議員じゃないんだよ、おらが街のしけたラボンジ父っつぁんみたいに。(追加:このカトリックおじさんは、どういうわけか歳費以外の株の儲けや役員報酬などをあまり取らないらしく、上院議員中では年収の少ない人らしい。馬鹿か、清廉潔白な人だな。)

昨日のベイルアウトの記事に全面的にではないにしても「裏で」賛同してくださった方もいた。ありがたい。ついでに補足させてもらうが、アメリカには上院議員(セネター)と下院議員(コングレスマン)がいる。上院は大きな州も小さな州も2人ずつ仲良く代議員を出し、任期も長く*1大所高所からの政治を任される。下院は各州の人口に応じて選出され*2、まさに地元の住民の声の代表である色彩が濃い。これが、下院議員は地元第一の根拠である。日本のことには無責任というわけではないが、原則的な優先順位はある。

*1:下院議員は2年であるが、上院議員は6年。

*2:少ないペイリンのアラスカ州などは1名なのに最大のカリフォルニア州は53名。