Comments by Dr Marks

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文句たらたらのモンクは聖力余りすぎで裏山師−イエスの墓での乱闘劇

猫猫先生が日本語の猫とフランス語の雄猫(シャ)をめぐって日本の駄洒落(らしい)がそのままフランス語の駄洒落になってしまったらどうするのか、と心配していた。元の作品のことは知らないのでよくわからない。しかし、確かに日本語の音が外国語でたまたま「変」な単語になったりするおかしみは外国語を学ぶ楽しみの一つでもあるし、翻訳者が「おっ、これは幸い」と思うことも逆に「こりゃ、困ったわい」と思うこともあるだろう。

次のサイトのシーンは、キリスト教のモンク(僧侶)らが、お互いに文句(ちと苦しいかな)を言い合って殴り合いに発展した、この日曜日(9日)のエルサレムでの出来事だ。ABCテレビで見たのだが、このサイトはCNNにあったもの。短いコマーシャルの後に乱闘劇の恥まり始まり。

http://www.cnn.com/video/#/video/world/2008/11/09/vo.monks.brawl.ap?iref=videosearch

この場所は畏れ多くもイエス・キリスト様の埋葬の場所に建てられし聖墳墓教会(Church of the Holy Sepulchre/Sepulcher)なるそ。よりによつてかかる聖なる奥都城(おくつき)において乱闘とあひなるとは、うたてなりける心なしのしれ者かな。

学者の多くを除く、一般のプロテスタントの人々は、まだまだゴードンの園の墓がイエスの墓と思っているらしいが、あそこを管理する団体も、イエスの墓だとは主張していない。学問的にはありえんのですわ。まともな学者は、このダマスコ門を出たところの「園の墓(Garden Tomb)」をイエスの埋葬地とは思わん。逆に、古来伝承の聖墳墓教会のほうが、highly likely(極めて確かなところ)イエスの埋葬箇所と考えていい。少なくとも、学問的な反証は今のところ上がっていない。

もっとも、園の墓のほうが自分のイエスの墓のイメージに合うから好きだとか、いやいや聖墳墓教会の古色蒼然とした雰囲気がいいとか、どちらも好きにすればいい。どうせ三日目に行ってみたら、死体はなかったんだからね。

そんな聖墳墓教会は、ギリシア正教会、アルメニア使徒教会ローマ・カトリック教会コプト正教会エチオピア正教会コプトとは別)、シリア正教会の共同統治でやってきた。それぞれが、この教会の中でそれぞれのチャペルを保有しているからである。そして、一応、仲良く管理しているということになる。しかし、先年の改修時にも力を発揮したのは、ギリシアアルメニアカトリックの三教会であり、この三者が威張っていることになる。

今回の報道だけではよくわからないが、騒動の主はアルメニアギリシアアルメニアが聖へレナ(コンスタンチンの母)の発見したと主張するイエス処刑の十字架に関わる祭事の行列を組み(多分)聖ヘレナ礼拝堂に入ろうとしたところ、ギリシア側のモンクたちが文句をつけた、「俺たちにも参加させろ」と。ところが、アルメニアの坊主たちがその要求を拒否した。そこでギリシアの坊主が嫌がらせの通せんぼをしたから、アルメニアの坊主がギリシア側を小突いて、結局は殴り合いとなったらしい。警官が制止しようが全く関係ないもんね。若い僧侶はセイリョク余りすぎだっちゅうの。

どうも、騒動の詳しい事情は私もわからないが、聖へレナ礼拝堂はアルメニアの所有で、そこから階段を下ったところは左がカトリック、右がギリシアの所有である。カトリックさんは乱闘はもちろん騒動そのものにも噛んではいないようだ。お利口さん。なお、公務執行妨害のかどで、逮捕者は仲良くアルメニア側1名ギリシア側1名の由。

一応、聖墳墓教会のサイトを紹介しておきます。英語だけですみません。これのほうがWPよりはいいのですが、WPも紹介します。WPには日本語版もあります。日本語版は極めて素っ気ない(けど助かりますよ)。