Comments by Dr Marks

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エリオット先生の言うことにゃ、「グリンリー爺さんよ、ご同輩よ、あのイーアマンでさえ、あんたの耄碌よりましだよ」だって

今日、Eメールに RBL(Review of Biblical Literature) の電子版が入っていた。英国の J. K. Elliott 先生が J. Harold Greenlee 先生の新刊(といっても増補版) The Text of the New Testament: From Manuscript to Modern Edition (Peabody, Mass.: Hendrickson, 2008) の書評をしていた。もうどこかに行ってしまったがグリンリー先生といえばギリシア語文法の教科書で有名で私も持っていた。保守派の聖書学者として有名だった(←過去形!)。

まあ、この本は役に立たないことはないが、いわゆるミスリーディングの多い本だ。それに前の版を持っている人は第9章が書き足されただけで旧版と変わらないそうだから買わなくてもいい(かな)。自説ばかり主張して他の理論の紹介に欠けるから、教科書としては不適。(因みに、このグリンリー爺さんはマルコ伝16章9節以降は筆記者が神学的理由から削除したという珍説の支持者で、私やエリオット先生、そして多数派の見解である元々は8節までということを信じない頑固者。)

多くの具体的な不備をエリオット先生が指摘しているが(エリオット先生もどちらかというと保守的)、私はコーヒー飲みながら読んでいて思わず噴出しそうになった箇所がある。「あのイーアマンとその一味」(Misquoting Jesus などに示されたこと)でさえ、そんな不用意なことは書いてないぞ、ご同輩、というくだりだ。

そういえば、イーアマンに対抗した Misquoting Truth という題の本がある(Timothy Paul Jones著、InterVersity Press、2007年刊)。そのうち書くかもしれないが、今日は紹介に留める。しかし、この書評は、エリオット爺さんがグリンリー爺さんをいじめてるの図だったね。本当に誰も買わないんじゃないか。