Comments by Dr Marks

出典を「Comments by Dr Marks」と表示する限り自由に引用できます

ナチのガス室など夢じゃ夢じゃ―破門? 破門も夢じゃ夢じゃ

夢じゃ夢じゃ

フランスの伝統主義者である故マルセル・ルフェブル(Marcel Lefebvre)大司教によってヴァチカンの意に反して叙階された4人の聖職者が今話題になっている。ルフェブル師は第二ヴァチカン公会議の決定事項に強硬に反対していた保守主義者の集団である聖ピウス十世会(Society of St. Pius X、略称SSPX)の創立者だ。彼は1991年に亡くなったが、4人の聖職者は存命である。ルフェブル師と4人の聖職者は、1988年にヴァチカン(ヨハネ・パウロ2世)から破門されたが、このたびベネディクト16世によって破門が解かれることになった。

ローマ教会の定めた無許可叙階(第1382条)ということが破門の理由で、彼らの信仰が破門の理由ではなかった。その破門が解かれるということである。しかし、現在問題になっているのは、無許可で叙階された4人のうちのイギリス人司祭(SSPXにおいては司教)ウィリアムスン(Richard Nelson Williamson)師の行動と言動だ。


噂の真相(私をディノサウルスと呼んでもかまわんよ)

どのようなことかというと、まずウィリアムスン師は、ヴァチカンの破門自体をなかったこととしている(要するに認めていない)。従って、彼にとっては破門解除もなにもないことになる。また、彼はナチスによるガス室は存在しなかった。従って、ガス室によるユダヤ人虐殺も存在しなかった、と主張する。もっとも、彼は、20万人から30万人のユダヤ人がナチスの収容所で亡くなった事実は認めるが、それはガス室等による虐殺ではないと語っているそうだ。昨年、11月に録画されたスェーデンのテレビで語ったものであるが、あろうことか破門解除の憶測が流れた今年の1月に放映されてしまった。


あの、黒人説教者も顔負け(天国は爆発だ、チュチュチュ、ブチュー、I love God!)

この一流変わった司祭は、1940年の生まれで、カトリックの家庭ではなく、イギリスの国教会に属する両親の許で育ったが、ケンブリッジ大学を卒業してからアフリカはガーナの大学で教えたり、ガボンシュヴァイツァー博士と面会している。1971年になってカトリックに改宗した。その後ロンドンとスイスで修行した後、1976年に例のルフェブル大司教によって司祭に叙階されることとなった。その他の履歴についてはウィキペディア(英独仏伊など、日はない)に詳しいし、我がブログのコメンテイタでありカトリック信徒のma_cocotte 氏やantonian氏のブログでも大きな話題となっている。

さて、部外者(新教私度僧)としては「あら、まあ」ではあるが、同じクリスチャンとして心配なのは、このSSPXに属する教会があり、教会員が世界にいることだ。つまり、同じローマ・カトリック(Roman Catholic)という中での一種のスキズム(シスム、Schism、教会分裂)があるということは、この信徒たちが今までまっとうなカトリック信徒とはみなされなかったのに、破門の解除で「よかった、よかった」のはずが、ウィリアムスン司教のような変人のお陰で台無しになっていることだ。いや、彼が変人であるかどうかは判断できる立場に私はいない。しかし、彼が騒動の主役であることは確かなようだ。

SSPXというのは世界中にあるし、独自の神学校もあるのだが、この大カリフォルニアにももちろんある。米国SSPXのウェブサイトはここ