Comments by Dr Marks

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大久保泰って誰だ?

大久保泰が敗戦直後に出した『カナの饗宴』という本をたまたま入手した。あの時期に出た本としてはなかなか立派なもので凸版印刷が印刷し美術出版が出したものだ。

気取った解説と随筆であるが面白く、ルネッサンス期の美術史の勉強にもなるので買った。この著者、大久保泰(おおくぼ・たい、男性、1905−1989)は早稲田大学を卒業したあとしばらく第一銀行に勤めたらしいが、1930年代に欧州を旅し帰国して画家兼評論家となった人物だ。正式な絵画技術の訓練は受けていないらしい。

買ってから調べたが、この人の絵は割合に簡単に入手できるらしい。しかし、この人の本のほうが人気があり入手困難とのことだ。ネットでぐぐれば小谷野先生ではないが、古書はすぐに検索できるので払底してしまうらしい。で、この人の場合、この人の描いた絵より、書いた本のほうが相場が高かったりするのが大笑い。