Comments by Dr Marks

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庶民が天皇を知っていたか、など議論にはなるまい―小谷野・小林論争あるいは「小小」論争

私としては、両人とも大好きであるが一言。二人が議論していることは猫猫先生のブログで知っていたが、基本的にこの論争は成り立つのだろうか。猫猫先生がおっしゃるように、日本の私大で教えていて(国立がいろいろあるように私大だっていろいろあるだろうが)アメリカの大統領の名を知らない学生がいるように、「庶民」の程度というか、定義ないし範囲が問題だ。さもなければ、この論争は意味がない。

イスラエルの紀元前後はローマの属国(ヘロデ大王期)あるいは属領(その他の時期)だった。天皇に当たるのは(というより天皇+将軍?)ローマ皇帝だが、ローマ皇帝の名を知る庶民はいかほどかわかりはしない。なにしろ、ローマ皇帝ならば聖書が示すように皆「カエザル」なのだ。(実際、カエザルはローマ皇帝の別称ではあったが。)私は、ローマ皇帝の存在さえ知らない庶民も多かったに違いない、と思っている。