Comments by Dr Marks

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例があったら教えてほしい。猫猫先生じゃないけれど。

小谷野先生のブログに次のような記事(告知)があった。http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20091212

受賞式に元愛人などが乱入するという小説があったような気がする。だが、受賞式が行われている最中に「あたしはこの男に捨てられたー!」などと叫ぶことはまずできない。雰囲気に呑まれるからである。ではキチガイならどうか。キチガイですらムリであろう。キチガイが人を刺すとか撃つとかいうのはあるが、「あたしはこの男にーー!」と叫ぶのは、キチガイにもできない。なぜならそういう話を聞いたことがないからである。

(例があったら教えてほしい)

似たような(似てないかもしれないが)状況に、キリスト教聖職者の叙任(叙階)式(ordination)がある。叙任のための要件はそれぞれの組織によって違う(信仰歴、学歴、筆記試験、等々)が、司式者より新しく聖職者に任命される者の紹介がなされ按手(司式者が新任の者に手を置く)する。その際「この中で、この者の叙階に異議ある方はいますか。聖職者としてふさわしくないとお考えの方はいますか。」と司式者は会場に向かって尋ねる。そして、数秒待ち、返事がないのを確かめてから任命の言葉に入る。

会場にいる者は誰でも異議があれは挙手するか、発言して構わない。当然ながら「あたしはこの男にーー!」という者が出てきてもいいのだ。もし、そういう状況になったら、ガイドラインでは司式者は直ちに式を中止し、異議の内容について検討する会議に入り、異議が妥当であれば式を延期するか叙任を見合わせる。異議が何の証拠もない中傷であれば、式を再開する。

ところが、私は寡聞にして、キチガイであろうとなかろうと、「あたしはこの男にーー!」というような事態が起こったということを知らない。実際、本当にそういう「非常時」があるのだろうか。まあ、教団というところから足を洗ってしまって何にも知らないだけなのかもしらないが、まずそんな人物は初めから叙任しないということもあろう。しかし、キチガイがいたらありそうではあるなあ。例があったら教えてほしい。(小谷野先生をぱくっちゃった。ごめんなさい。でも昔から疑問だったもので。)