Comments by Dr Marks

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手短に:カール・ラーナー博士を翻弄したドイツの大学教育の馬鹿さ加減

Twitterにドイツの神学教育と教会税(Kirchensteuer)のことを連続して書いたら、フォロワーの方がブログみたいとおっしゃったので、やはり長さの問題でブログに書くことにした。しかし、一度書いたことをもう一度書く気はしないので、第二ヴァチカン公会議でラッツンガー博士(畏れ多くも、現ベネ16法王様の俗名)の大先輩として活躍された故カール・ラーナー(Karl Rahner)博士のドイツの馬鹿学界ゆえのご苦難(涙;)を簡単に紹介する。

ラーナー博士はカトリック哲学史でD.Phil.を取るために1936年にトマス・アクイナスに関する論文をフライブルク大学に提出した。ところがマーティン・ホーネカー(Martin Honecker)という分からず屋が(馬鹿ではない)「こんなん一般哲学や、カトリック哲学史やないわいな」ということで落第にした。そこでラーナーはやむなくインスブルック大学(オーストリア)に移って、めでたくヨハネ伝19章34節の研究でD.Theol.を取得した。(後日談:落第した論文は後に出版されました。落第論文が出版されたんだから、合格論文が出版されない博士さんは恥じるべき、なんちゃって。)

博士となり教授資格試験(Habilitation)も通ったラーナーは、色んなところでアカデミック下働き(要するに講師とか)をしたあと、幸いにしてミュンヘン大学に教授職を得たが、なんと担当科目は哲学であった。そりゃそうだ、得意だもん。ところが好事魔多し、彼のところで勉強した学生には、カトリック神学部では学位を上げんという騒ぎになった。そんな嫌がらせした親分の名前はミヒャエル・シュマオス(Michael Schmaus)という教授でんねん。

ほんで、追われるようにミュンヘンを去ったのですが、捨てる神あれば拾う神あり、今度はミュンスター大学のカトリック神学部の教授になりましたとさ。めでたし、めでたし。猫猫先生もそうなるんだろうね。あの井門先生が最後にいた大学か。雰囲気はいい大学だと思う。煙草大変だけど。

閑話休題。今でもあるのよ。不信仰者だけど、個人的には好きな(細君と一緒に挨拶したら、おーいって、自分の奥さんを呼んで紹介してくれたことがある)ガート(ゲルト)・リューデマン先生は、不信仰ゆえにプロテスタント神学部(本当はドイツでは福音神学部というんだが)から追い出され、一般の哲学・宗教学部に移った。首にはならなくてよかったね。

ねっ、ドイツの大学は馬鹿よ。それにドイツの学位はHabilitationと一緒でなければ(日本以外では)ありがたがってもらえない。止めたほうがいい。アメリカにいらっしゃい。金がないなら安いからイギリスもいいが、アメリカでも金ならなんとかなるよ。心掛け次第。Come to America!