Comments by Dr Marks

出典を「Comments by Dr Marks」と表示する限り自由に引用できます

近頃おもしろい最高裁の判断(米国連邦裁の話だけど)拳銃所持オケー! の次は動物虐待ビデオ OK!

憲法判断に関わるのは日本や諸外国と同じだが、近頃の連邦最高裁は法の番人の初心に返ってなかなかいいぞ。ブログばかり書いてると叱られるので(誰に?)簡単に紹介だけしておく。

この度、最高裁は8−1の多数意見で、先般ヴァジィニア州のロバート・スティーヴンズ氏がビデオ販売にからんで動物虐待の刑を受けたことに対して、憲法修正第一条(表現の自由)に照らして不当であるとした。

ティーヴンズ氏はピッツブル(極めて頻繁に殺人などの問題行動を起こす犬の品種)が種々の動物を襲うシーンの映像を販売したとして37箇月の判決を受けていた。アメフトのマイケル・ヴィック選手が闘犬ドッグファイト)そのものを行って14箇月の刑を受けているが、ビデオ販売だけで37箇月というのは量刑の面でも疑問ということで上告していたらしい。

今回は、議会が動物虐待に関して何もかも同法違反としているファッショ的根拠に、最高裁判事の多数が異を唱える形となった。もっとも少数派のサミュエル・アリト判事の指摘するような「クラッシュ・ビデオ(動物を意味もなく虐殺するビデオ)」は常識的にも禁止されなければならないだろう。しかし、ジョン・ロバーツ長官が説明するように、そのうち小説や歴史上のことまで上映できなくなったら大いなるアホの世界になるではないか。(「大いなるアホの世界」は Dr. Marks のコメント。長官の言葉ではない。)

政府筋は、"compelling interest" の観点からの制限だというが、個々のケースを判断して、原則は自由のほうを優先するべきだと思う。(Compelling interest の日本語訳は知らない。中国語では訳が一定していない。私は「やむにやまれぬ制限による公共の利益」と長めに訳しておく。Compelling federal interest なら国家の利益だし compelling state interest なら州の利益となる。)

今回、動物虐待映像禁止を最高裁が支持していれば、1982年の幼児ポルノ映像禁止以来の二つ目の禁止映像になるところだった。なお、ABC も同時にニューズを出したが、あちらの記事は正確でないようだ。CNN を参照した。→http://www.cnn.com/2010/CRIME/04/20/dog.fight.videos/index.html?hpt=T1

今この記事へのコメント見たら「犬ファイト」が駄目なら「人間ファイト」も禁止したらというのがあった。ボクシングとかさ。亀田家失業。