Comments by Dr Marks

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Mr. Tofu の次は Mr. Natto?

Wall Street Journal のアジア版を読んでいたら納豆の話題が載っていた。ミナミ・サトー(53歳)という人がちょっと変わった納豆ビジネスに関わっているという記事だが、調べてみたら数日前にアメリカのベイエリア版(サンフランシスコ周辺)に出ている文章と同じであった。まあ、そんなことでネットで読めるので紹介しておく〔http://bit.ly/bi97IR〕。

確かに、トーフと違って、大豆からの食品といっても納豆はまだアメリカで市民権はないような気がする。しかし、納豆製造や販売は輸入でなくてもカリフォルニアでは行われていた。もちろん購入するのはほとんどが日系人だが、昨年のブログで紹介したように、同僚のイギリス系アメリカ人が納豆をランチに持参しているのにビックリしたことがある。

ロスアンジェルスには Mr. Tofu と自称する方がいて、私自身、面識もある。森永乳業アメリカにある子会社の社長をしていた人だ。彼は自分がトーフをアメリカに広めたと言うが、実はその前からトーフの「市民権」は確立する兆しがあったのであり、彼が自分で広めたということではないだろう。むしろ、森乳の真空パックによって長期保存が可能なトーフを広めたのだと、限定的な定義が必要だ。

ただし、その過程で Mr. Tofu の活躍がトーフの市民権に寄与したように、サトー氏の事業が今後ナットーの普及に寄与して、彼は Mr. Natto といわれる日が来るのかもしれない。たまたまアジアにいてアジア版を読んだわけだが、日本においてさえ、納豆に全国的な「日本国籍」はなく、京都大学の生協食堂が納豆をメニューに加えたという記事が新聞に載ったのは確か1970年代の後半ではなかっただろうか。それまでは、関東以北に限定的な食文化であったはずだ。