日本語のトンデモ説の「トンデモ」を英語で何と言うかといえば、陳腐なようだが「エクセントリック」だろうな。ロバート・アイゼンマン先生の説はエクセントリックって言われてるもん。
- 作者: Robert H. Eisenman
- 出版社/メーカー: Penguin Books
- 発売日: 1998/03/01
- メディア: ペーパーバック
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上記に代表的な本だけ紹介しておいたが、これだって千ページを超える。日本の新書版にしたら十冊近い内容だ。面白いところは面白いが、読むのはしんどい。彼は、繰り返すが、間違いなく秀才であり、文句のない死海文書学者であり、若い頃から夢を求めて世界を旅したロマンチストでもある。だから、飛んでいる。でも、英語では eccentric(丸い輪っかから外れている)というわけだ。
じゃあ、何が飛んでるのと言われれば、例えばだが、死海文書の中の「義の教師」がイエスの兄弟のヤコブだというのだ。とすれば、その文書はイエスの死後、すなわち1世紀の半ば以降のものでなければならない。しかし、その文書は人にもよるが紀元前2世紀まで遡るというのが通説なのでやはり飛んでいる。それに古筆学や放射性炭素の年代測定が自分の年代と違うときだけ「役立たず」と罵る。(普段はそれらの年代測定を信じている。)
内容+文脈が大事というが、自分が勝手にイエスの兄弟ヤコブを文脈に入れちゃったんで、話は逆でんがな。他のトンデモ説では、パウロはヘロデ家の一員で、ヘロデ大王の孫だというものとか、イエスの時代の反乱の指導者テウダ(使徒行伝5:36参照)は同様にイエスの兄弟ユダだとも言うんだね、この小父さん。もっとも、サウロというヘロデ大王の孫がいることは確か。
そうそう、イエスの兄弟については、ごく教科書的な、従って穏健な紹介を本家でしたことがある。よろしかったらどうぞ(http://markwaterman.blogspot.com/search?q=jesus%27+siblings)。しかし、アイゼンマン小父さんは、先日紹介した「ヤコブの骨壷事件」では、すぐに一部の刻字が後代の書き加えであることを見破ったり、結構、語学でも考古学でも手足れであることを証明したね。やはり、秀才は秀才だ。いや、天才だから飛ぶんだな、きっと。天翔ける才能。