Comments by Dr Marks

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季節でもないのにメリーHがハマンの耳を作ってくれた、小さい形でケシ粒が入っていてあまり甘くない

ハマンの耳というユダヤのお菓子はアダル月の14日または15日(地域によって違う)に祝われるプリム祭のお菓子だ。アダルの月は(移動する太陰暦なので)2月か3月であり、今は季節外れだがお菓子屋にはいつでも売っているのだから、いつでもいいことはいい。

いつもの(うんざりといっては悪いが)ゲヴィッチとソーセージとヌードル入りのスープが届いたが、他にデザートに葡萄と梨とムースと、このハマンの耳が添えられていた。今日と明日は夕食の用意をしなくてすむ。このハマンは6個入っていた。

プリム祭というのはユダヤ人最大の馬鹿騒ぎ的お祭といっていい。プリムとは「くじ」のことだが、なぜそうかというのは旧約聖書エステル記を読んでみればわかる。紀元前5世紀のペルシアのクセルクセス(アハシュエロス)王の王妃となったユダヤの娘エステルの話である。

王の臣下にハマンというアガグ人(ユダヤ人はアガグ人はアマレク人の子孫とみる)がいて、ユダヤ人を根絶やしにしようと企てたが、エステルのいとこに当たり養父であるモルデカイと共にこの男ハマンを逆に滅ぼす。くじがこの物語で一役あるのは自分で聖書を読むべし。(なお、モルデカイをおじとするのは間違い。モルデカイのおじがエステルの実父。)

現在のユダヤ人はプリムの祭にはメギラー(巻物という意味)という祈祷書を読むが、この中でハマンの名が出るたびに大声を上げたり楽器やグラガーという道具でうるさく騒ぐ。ハマンの耳もお菓子にして食べてしまう。

大騒ぎはどの程度かというと、この日に限り、ハマンを呪っているのかモルデカイを祝福しているのかわからないほど泥酔してもいいことになっている。寝込むほど酔ってもいいということだ。しかし、いくら嬉しいからといっても悪人を呪っているのか善人を祝福しているのかわからないのであれば、いささか穏やかではない。

タルムードによると(余は確認していないが)、その神意(真意)は敵をとことん呪うことではないからだそうだ。むしろ、そんなことはいい加減に止めて、自分たち自身が神に忠実に暮らすことが大事らしい。