エルサルヴァドル料理(Salvadorian Food)に誘われた
余は、中南米人というと、どういうわけかメキシコ人などよりもサルヴァドリアンすなわちエルサルヴァドル人との付き合いのほうが多い。隔週で頼んでいる庭師までサルヴァドリアンだ。彼らは心優しく、日本人のような細かな心遣いをする人たちが多いように思う。また、メキシコ人のように大柄な人は少なく、小柄ながらもしっかりとした骨格の人が多い。(というのは、余の狭い交友の範囲であって一般化するつもりはもちろんない。)
そんな友人に「これがサルヴァドリアンの料理だというのを食べさせたい」と誘われた。何と我が家から数マイルのご近所だった。洒落て小綺麗な店だったが、どこかは教えない。ちょっとしたプライヴァシーのためだから、ご容赦願いたい。いわゆるミッドタウンにあるとだけ言っておこう。
写真の料理は Mojarra Frita(モハラ・フリータ、Fried Tilapia)だ。面白いことにカリカリに仕上がっているので魚料理の骨取りの苦手な細君もこれなら上手に食べることができる。これと Berro(ベロー)という香菜の付いたサラダを食べれば腹一杯なのに、Pupusa(ププサ)というトウモロコシ・パン(Corn Bread) はもちろん、揚げたバナナ Platano Frito(プラターノ・フリート、Fried Sweet Banana)とか、豚肉のジャーキー Chicharon(チチャロン)、茶巾のようなミートパイ Pastel de Carne(パステル・デ・カルネ)まで食べたから動けないほど満腹になってしまった。
お陰でだいぶ太ったが、余はコーヒーもサルヴァドリアンにしようと思ったら、残念ながらフォージャーのコーヒーしかないという。誘ってくれたこの友人がエルサルヴァドルにコーヒー園を持つ人だから、サルヴァドリアン・コーヒーが飲めると思ったのに意外だった。
最後に、余が面白いと思ったことを述べれば、この友人、盛んに同じ料理のメキシコ人の呼び名とか、キューバ料理との違いだとか、同じ中南米でも俺たちゃ違うを連発したことだ。サルヴァドリアンの名称ですら上記を覚えてくるのは大変だったのに、メキシコやキューバのことまでは追いつかない。ともかく、西欧の人間は東アジアの諸国を何でも一緒にしてしまうが、我々も中南米諸国を十把一絡げにしてはいかんということなのだろう。