Comments by Dr Marks

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シャバット(安息日)と自動車:なに、ユダヤンの話だけど

毎金曜日の夕刻(日没)から土曜日の夕刻まではシャバット。ハラカー(ユダヤ人の規則=律法および細則)によると、シャバットに自動車に乗ってならないとは書いていない。これ本当。なぜなら、まだ自動車は存在しなかったから。しかし、自動車に乗ってはならないとユダヤ人は解釈する。なぜか。

シャバットには運行規則があり、乗り物や移動距離が制限されているが、自動車の場合、一番問題になるのは運転である。なぜか。車はエンジンを発火させて始動する。このイグニッションが重要なシャバットの禁止事項なのだ。だから、移動や運行制限の前に、車のエンジンを動かすことからノーなのだ。じゃあ、非ユダヤ人に始動してもらってからならいいのかというと、今度は運行制限にひっかかる。

もっともユダヤン(←この言葉は関西弁だから英語だと思わないように)の中にはいつも言うように4種類あるので(普通は3種類といわれるが余は実態から4種類とする)それぞれの対応は異なる。以下、簡単に違いを述べる。

まず、正統派は文字通りに自動車運行禁止。余は、この正統派諸派(正統派の中にも諸流あり)の奴らが生息する地域に住んでいるが、彼らは徒歩で自宅からシナゴーグに通う。シナゴーグに通う以外、隣人を訪ねるくらいで、買い物にも行かない。余の街のシナゴーグの数は(誇張ではなく、実際に)郵便ポストの数より多い。

次が、保守派。彼らは正式に1950年代に既にシナゴーグに通うためならオケーだってさ。まっ、ご都合主義ではあるが、移動距離制限というのは町(昔の都市は城郭都市)の城門を出てから1キロくらいであるから、今頃のユダヤン、とくに金持ちは郊外の大きな家に住むようになったので(郊外の安い家という解釈もあるが)どだい車なしではシナゴーグに行くことができない。つまり、シナゴーグにさえ行かなくなって不信仰を助長してしまうという現実問題があった。

三つ目が改革派。こいつらは実質上ハラカーを鼻から無視。えっ、シャバットに車乗っちゃいけないの?と、とぼけかねない。シナゴーグどころかどこに行ったってかまわない。ジョイライディングのドライヴけっこう、買い物けっこう、なんでもいい。てか、へたするとシナゴーグなんかは冠婚葬祭とお祭くらいで毎シャバットに行くことはないかもしれない。いや、ほとんどは行かないな。

最後が罰当たり。冠婚葬祭だけはしょうがないか程度。したがって、シャバットって何?ってなもんで、土曜のランチはポークカレーでも食べましょうか、という輩。コーシャも何もあったもんではない。

以上ではあるが、例外はある。病気の場合とか出産などは以上の規定に拘わらず自動車の利用が認められる。それは超正統派も同じで、生命に関わる場合は、どっかの輸血は駄目などという気違いとは別で、命が優先される。だから、軍隊や警察、また消防なども、常に人々の生命を守る職業としてシャバットの例外となっている。