Comments by Dr Marks

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リビアに飛行禁止区域(no-fly-zone)だって? おいおい、そりゃハッタリだろうが。まさかアメリカが「真珠湾攻撃」はできないよね。

ロシアは反対、フランスは時期尚早。しかし、イギリスのキャメロンパンとアメリカの馬鹿オバマがはしゃいでる。何って、ノー・フライ・ゾーンのことだよ。定義としては「その上を飛行してはならない区域」ということで、小地域であることもあれば広範囲であることもある。そして、もし通告に従わずに飛行すれば、実力行使で撃ち落される可能性のある怖い地域のことだ。

そのゾーンをアメリカとイギリスが中心となり(国連のお墨付きで)リビアに作ってしまえという話だ。NATOが参加する案もあるが、なかなかそれは難しいだろう。考えてみれば国連でさえ、ゴーサインは難しいかもしれない。やるとなればすでに空母2隻を地中海と紅海に派遣しているアメリカと、ギリシアに空軍基地を有するイギリスが両国単独でする可能性もある。

何のためかというと、カダフィ大佐が反体制派を空軍機で鎮圧するから、それを阻止するためにリビアの空軍機を飛ばせないようにしたいんだって。つまり、人道的立場からカダフィに反乱を起こした者どもに加担するんだと。

今、主要国が揃って賛成しなければイギリスとアメリカだけででもする可能性があると言ったが、実は専門家の間では(そして当の米軍上層部でも)リビアでのNo-Fly-Zone(NFZ)は無理だとの観測がある。リビアの場合は、イラクの場合と事情がまったく違うのだ。

まず、NFZを実施するためには、リビアの制空権を確保しなければならない。しかし、リビアの場合は数機あるいは数十機が24時間領空を飛行する程度では制空権を得ることは無理である。ある計算では、24時間交代飛行を可能にするためには、数百機が常時稼動できる人員ならびに装備が必要であり、長期にわたった場合の軍事費は莫大なものになるそうだ。

その理由として、まず第一に、リビアにはSA-6 という最新式の地対空ミサイルがあり、高確率で高高度を航行する戦闘機をも迎撃できる。これは可動式でどこへでも行けるように車両に載っており、少なくとも50台は配備されていると言われる。次に、自らが空軍出身であるカダフィが集めた空軍機の種類も数もイラクアフガニスタンの比ではない。フランス製、イギリス製、アメリカ製、イタリア製、旧ソ連製、現ロシア製、ユーゴスラヴィア製、チェコスロヴァキア製の空軍機がある。

従って、米英が中途半端な制空権確保飛行をするならば、リビアはミサイルをふんだんに発射し、かつ直ちに50機あるいは100機くらいのミグ23で迎撃するのはたやすいのである。じゃあ、そうならないようにあらかじめSA-6ミサイル搭載車や地上に駐機するリビア軍の戦闘機を一気に叩き潰せばいいとも言えるが、そうなるとそれは当初予定のNFZとは言えなくなる。

むしろそれは先制攻撃であり、まさにパールハーバー的宣戦布告なしの戦闘行為になってしまうのである。そうなると人道的支援の大義もヘチマもなくなってしまう。その状態で長期にわたれば、おそらく英米カダフィリビアを制圧してしまうだろう。しかし、そうなれば国連が崩壊するほどの物議をかもすのは明らかである。

だから、識者は、「NFZなんてハッタリさ」と言うが、ひょっとしたら軍事のことなど何も知らないお馬鹿のオバマと取り巻き連中は本当にできると信じているのかもしれない。できやしないよ。難しいと言ったお猿のフランスのほうがまだ賢い。もっとも、最も賢い人は「アラブ人が嫌いなら、今のうちに互いに殺し合いさせなさいよ」なんて言ってるよ。そのほうが英米人を戦争で死なせなくていいし、お金もかからないってさ。