Comments by Dr Marks

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欧米の、特にアメリカの状況を読み続けるカダフィ:ジェット機を使わずにすでに反乱軍の拠点ベンガジに肉迫

いくつかのメディアによるリビア状況を書く。リビア現地時間の日曜日は、カダフィ政府軍が、反乱軍が制圧していたというブレーガ市を完全奪還した模様だ。政府軍の発表では「武装ギャングどもを洗い落とした」という表現が使われたらしい(アルジャジーラ)。

反乱軍は、カダフィ側がたびたび指摘しているように未組織・未経験の若者(ギャング)であり、昨日(現地土曜日)アルカイダが声明を出し反乱軍を鼓舞したこともカダフィの予言どおりだった。ただ、アルカイダの実際の介入はわかっていない。実際、反乱軍に寝返って脱走した元カダフィ軍兵士も、統率がなく勝手に行動しているので、アルカイダの力は、あるとしても、考慮するに値しないような気がする。

今回の攻勢で特徴は、カダフィ側が航空機による攻撃を見合わせていることだ。その理由の一つが、ノーフライゾーン(NFZ)の実施をアラブ連盟が裏書したことや、ゲイツ国防長官が(取りようによってはだが)ここに至って「もしもオバマが命令したとしたら単独でもNFZが実施できた」と弁明していることがあるのかもしれない。あるいは決戦に備えて温存しているのであろうか。それならカダフィの今までのやり方と同じだ。

また、昨日紹介したクラーク退役陸軍元帥と同じ趣旨ではあるが、退役空軍幕僚(四つ星)であったチャールズ・ホーナー将軍も、米国空軍のNFZ実施能力よりは、その効果と意義であると語っている。実際、彼は、反乱軍の人的損害は空軍よりは砲兵隊によるものだと語っている(ワシントン・ポスト)。確かに、既述のごとく、カダフィ軍は航空機を使わなくても十分に反乱軍を壊滅できることを示威している。

思うに、烏合の衆の「反乱軍」という形で「反体制派が武器を取ったこと」があらゆる面で失敗であったと思っている。実際に勝てるはずがないどころか、カダフィ大佐武力行使大義名分を与えてしまった。もっとも、エジプトの場合とは別で、離反・脱走のリビア軍というのはほんの一部の弱体で、主力を政府が握っていたというのが生兵法に発展しただけなのかもしれない。