この写真はエジプトはカイロのタリール広場(解放広場)だけど、いつだと思う。昨日なんだ。ムバラク追い出せじゃなくて新政府の元帥追い出せ、だって。
ミレトスのターレスというソクラテスより先輩の約二千六百年前の哲学者が弟子に聞かれた。「先生、世にも稀なるものって何でしょう。」先生答えて曰く。「そうだな、長生きした独裁者かな、くっくっく。」こんな話を3世紀のディオゲネス・ラエルティウスが『哲学者列伝』の中に書いている。ターレスは哲学者の始祖とも言われるが、政治的外交手腕も金儲けもその気になればオチャノコサイサイであることを実証したとも言われる。3世紀のディオゲネスだけでなく、時代のそれほど変わらないアリストテレスさえ書いているのだから信憑性はある。
ところがだ。エジプトの前ムバラク大統領は長命だよな。馬鹿のオバマが変なことを言い出さなければ、9月まで任期を全うしたかもしれない。そして、今のような混乱は起きなかったかもしれない。いずれも仮定の話だから、わからないことではあるが、少なくともエジプトは混乱の中にある。再び、新政権が政治犯として自由思想家を牢獄に入れだしたのだ。例えば、エジプトで有名らしいブロッガー Michael Nabil氏がそうだ。軍事法廷で3年の刑の予定だってよ。
写真だが、この金曜日にタリール広場に集まっての一種の抗議集会だ。中央の男は、民衆の肩に乗って叫んでいる。来るべき政府高官である軍幹部が出てくるのが遅いと叫んでいるらしい。中には軍幹部に不満な下級将校も参加しているらしく、そのような写真もあった。確かに、過渡的にということではあるが、この国は暫定的に軍政である。「軍政」だぜ。そんで、この間の憲法改正に関してもムバラク政権下の憲法にあった非常時の大権はそのまま残っている。
非常時の大権って知ってるかね。要するに、非常時には政権にある者の独裁を許すという「合法的独裁権」のことだよ。何だか明治憲法下の天ちゃんを思い出さないか。いや、実はあの憲法より凄いのだ。エジプトの場合、それだけじゃないぞ。この軍政の責任者にモハメッド・フセイン・タンタウィという元帥がいる。75歳! ムバラクの子飼いの軍人だ。民衆から、「あれっ、元帥さんよ、あんたムバラクと一緒に辞めたんじゃねーの」とか馬鹿にされているらしい。
だけど、この国のインテリとか大学教授もいい加減なもんで、あんだけ民衆をおだてておいて、「しかし、まかされた軍部は政治の専門家じゃないし、民衆もまだ未成熟だから、多少の不自由も仕方ないんじゃないの。あまりにも急激なのは・・・。」とか、ぬかしているぞ。・・・余は呆れて沈黙・・・、だったら、なぜムバラクを・・・。
そいや、チュニジアもめちゃくちゃだな。哲学者である余が、チュニジアの時から懸念した通りじゃ。リビアも変にいじくった馬鹿オバマに天誅・・・かな。
この記事を書いた直後に軍によるデモ弾圧のAP電あり。