Comments by Dr Marks

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No. 0.

猫猫先生にならって、おいどんも書くど〜っ (改訂増補版)

われわれの分野では80歳過ぎであろうが90歳であろうが本を書いて出版しても珍しくはない。60代、70代はまだ洟垂れ小僧だ。昨日、Geza Vermes(英語的にはギーザ・ヴァメーシュと発音するが、たった1冊だけ和訳されたものではヴェルメシュとなっていた)の新刊を注文したが彼は1924年生まれだ。(因みに、私の本を学会誌で書評したことのある人が書評していたので早速注文した次第。)届いたら紹介するかもしれないがしないかもしれない。新刊の本の名は、ずばり復活、The Resurrection: History and Myth だ。

写真の説明を忘れていた。これがヴァメーシュじいさん。メリーHおばさんの旦那様L-Yじいさんと同じく、ハンガリアン・ジューだ。そういえば、似ている。二人ともホロコーストの生き残り。L-Yじいさんは貴族だったが、ヴァメーシュじいさんもか。えっ、ユダヤ人で貴族? いるんだよ。知らねーな。

(しかし、まあ、ヴァメーシュじいさんの本は1冊しか翻訳されていないのかい。日本ではアーマンと呼ばれているイーアマンの馬鹿たれアンパンマンの本はやたら訳して出版しているのにさ。)

猫猫先生

>宮尾先生が十年間の不遇ののち、『櫂』を自費出版して太宰治賞をとったのは47歳の時だ。私もがんばって大河ドラマの原作作家を目指そう。

なんて書いていた。私的には好きだなー、こんなこと書いて宣言しちゃうなんて。結局、やらなきゃならないから、本当にアッチャンやっちゃうかも。

と、言えば、私がやってないことも多い。まず、小説の続きだが、言い訳をしておく。へたくそ小説でも完結しようとした矢先、小説とは関係なく、この主人公のモデルを歴史上の問題から調査しているH先生が私に連絡をくださった。(私はいまだに誰であるかは言っていないが、知っている人は知っている。知っている人は知っているのが当たり前だが、H先生だけではなく、ブログ仲間でも知っていて黙っていてくださる方がいるので感謝している。)

さて、H先生の調査は本格的であり、当然ながら論文と著書になさるだろうから、余計なことは書けないことになってしまったのだ。現在までに、H先生とは20通くらいの遣り取りをしており、日本側の調査では私が1%くらい、アメリカ側の調査では私が10%くらい貢献したと思うが、いずれにしろこれはH先生の仕事である。(原資料=一次資料を丹念に探し出す仕事で、刑事さんのように足で探すのだが、ネットの発達と複写技術の発達が極めて効率のよい仕事に反映していると思っている。)

少しだけ面白いことを披露しよう。あの主人公となったモデルの気象学者が小説を英語で書いていた。いや、小説であると言ってはいけないのかもしれないが、別に日本語で書いた自叙伝とは話が合わず、極めて叙情的な物語であるからだ。もっとも彼の英文に手を入れた彼の留学先の先生は女性であるからかもしれない。この小説(小説と言ってよければ)は、草稿ではなく、ちゃんと印刷出版されていたのには驚きだ。

もう一つ、私が約束したことがある。竹田寿恵雄先生の本の書評だ。こちらは主として私の怠慢だ。しかし、ついでに折々にカントそのものや、関連の研究書にも目を通しており、今なお書く前のお楽しみ中というあんばいだ。やはりカントはすごいなと再認識しつつ竹田先生を考え中ということだ。(そうだ、カントも大器晩成だった!

竹田先生の本は日本語でも出ているが、今のところ日本語は見ないことにしている。ドイツ語の著作そのものとして考えてみたいからだ。そういえば、竹田先生の本の少し後に出た坂部恵の『理性の不安−カント哲学の生成と構造』(1976)が2回も装いを変えて出版されている。最新版は2001年に出ている。あの本は確かに悪くはない本だが、そんなに売れたのが不思議である。

そういえば、ジジェクTarryng with the Negative も日本語に訳されている。ここで、ジジェクのカント観もわかるのだが、ジジェクの場合、フランス精神分析学よりもやはり共産主義の影響が払拭できないように感じる。あーあ、この翻訳書も出ているわけだが、だいたいデカルト、カント、ヘーゲルを読んだことがない人が読んでわかるのかい。しかも、ジジェクの議論だぞ。

(いや、わかるかもしれない。内田樹と一緒に『現代思想のパフォーマンス』を書いた難波江和英という人は、ソシュールフーコーを英語の安直書を元に書いたと公言しているし、名前は秘すがドイツ語読めないのにカントの解説書を書いている日本人の教授がいるそうだ。念のため、難波江は知らんが内田はフランス語が一応読める。)

今日は80歳のおばあさんの誕生会に行った帰り、恵まれない犬や猫のいる家で、子猫約10匹と遊んできた。お陰で手が子猫たちの引っかき傷だらけになってしまった。そのうち一匹家に連れてこようと思うが、なにぶんにも家中の本を小屋に整理してからでないと駄目だ。