相槌だけでいい、自分でしゃべるな、黙って聞け、Listen!

日曜の午後、Miss Carol と呼ばれているイギリス系ユダヤ人を巨大スーパー・コスコに連れて行った。買い物をする自動車がないからだ。さて、ミス・キャロルは日本語で何と訳せばいいのだろうか。キャロル嬢？　うんにゃ、この場合、キャロル先生だにゃ。

実は93歳のおばあさん。先だってまで自分で運転していたが、さすがに高齢で止めて車は売り払ってしまった。大学で教えている娘や孫は他州に住んでいるので一人暮らしは大変だ。隣家のゲイの人がいい人で（ゲイの人って優しい人が多いね）ときどき助けてもらっているらしい。

ともかくユダヤ人街の一角の家に訪ね、助手席に座らせた。具合が悪いと言っていたので心配していたが元気そうだ。私が後で家に入れようと思っていた重い荷物を自分で運んだくらいだから、肉体はまだまだ強靭でびっくりした。精神は？　これもすごい。

車に乗り込むなり、猛烈にしゃべりだす。ふだん一人で住んでいるからしゃべりたいのか。家族のこと、隣人のこと、政治のこと、次々と語りだす。因みに彼女は昔からの民主党員であるが、今回のオバマには批判的だ。一人でしゃべらせては失礼と思うから、相槌を入れ、何らかのショート・コメントをしようとすると、こちらには何もしゃべらせない。

Listen!　黙って聞けというわけだ。Listen! 口癖なのか、ときどきはこちらが黙っているときも言う。Listen! そうか、この人先生だった。Listen! そして、質問したくて手を挙げている生徒も指で制して、Listen, let me finish my story!