Comments by Dr Marks

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No.10.

サイエンス・フィクション、アニメ、スパイもの、そして小説における"Q"


死海文書」のQ(Qumran, クムラン洞窟)と「共観福音書問題」のQ(Quelle, クヴェレ資料)は、余の直接の専門ではないが(というより、そうでないから)ブログで遊んできた。余の遊びが、読者の多少の役にでも立っていたらうれしい。

さて、村上春樹という作家に『1Q84』という作品がある。余はこの作品は本屋でぱらぱら見ただけで読んではいない。買うカネがなかったわけではない。買いたくもないし読みたくもないからだ。読みたくないのは、彼の初期の作品をいくつか読んでみて、もう読まなくてもいい作家だという偏見を持っているからである。偏見だからといって余を馬鹿にするならすればいい。少なくとも余の偏見は、評判の小説だからいい作品に違いないなどという偏見とは違う。

ところで、余が厠にしゃがんでいたときのことだが、ふと、あれっ、これって「死海文書」の命名法じゃないか、と思った。しかし、それならそれで誰かが既に指摘しているだろうと思い、「そんな人いますか?」と、Twitterでつぶやいてみたところ、猫猫先生小谷野敦、@tonton1965)が、@y_kurihara さんに聞いてごらん、とつぶやき返してくださった。

@y_kurihara とは栗原裕一郎さんのことで、評論家として最近『村上春樹を音楽で読み解く』(日本文芸社)という本をまとめた方だ。Twitter 仲間でなかったのにTwitterで聞くのもいかにも無作法なのでEメールを差し上げた。すると間もなく返事があり、2ちゃんねるでの話題とかアニメ『エヴァンゲリオン』での死海文書など教えてくださった。もちろん、これらの事実が『1Q84』と関連するというわけではない。今のところは、ただの注意の喚起にすぎない。

さて、以上はこの数日のできごとなのだが、今日、グッドエイカー(Mark Goodacre)先生がTwitter(@goodacre)でご自身のブログ(http://bit.ly/eLR5RY)に触れたので見てみると、偶然の時期的一致に驚いてのけぞった。のけぞったついでに拡散(RT)したのだが、どれだけの方がそのブログを見てくださったかはわからない。そこで、余は改めて余のブログでも紹介することにした。

グッドエイカー先生はQ資料仮説をいわば「サイエンス・フィクション」と笑う急先鋒。そして、このブログに出てくるジェームズ・リンヴィルというのは一応旧約聖書学者だが、新約聖書学者が本格的にQ資料仮説を主張するのとは違い、無神論の立場からQ資料仮説を利用するグループの一人。こんな人(http://bit.ly/gR0qo3)。

以上は長い長いイントロダクションで、今日言いたいことは、ごく簡単。ああ、そうかと笑っていただければいい。ありました、ありました、西洋版にもさまざまなQ エンタテインメントが。まず、これ(http://bit.ly/i4qZUKデズモンド・ルウェリン扮する『ジェームズ・ボンド』の中のQ(絵の中の爺さま)、そして、これ(http://bit.ly/dSJnxE)ジョン・ドゥ・ランシェ扮する『スター・トレック』の中のQ(絵の中の若者)。

まあ、実に、フィクション作家は想像力が逞しいが、Q資料仮説を信じる新約学者(それとリンヴィルみたいな旧約学者)もすごい「想像力」だなあ。えーと、上の絵はここ(http://bit.ly/e5NRVh)にあったのですが、誰のものでしょう。よく描けています。