Comments by Dr Marks

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The Synoptic Problem

No.10.

サイエンス・フィクション、アニメ、スパイもの、そして小説における"Q" 「死海文書」のQ(Qumran, クムラン洞窟)と「共観福音書問題」のQ(Quelle, クヴェレ資料)は、余の直接の専門ではないが(というより、そうでないから)ブログで遊んできた。余の遊…

No.9.

歴史家パピアス:目撃者と歴史性 シリーズの前回はQ資料に関して歴史性が欠如していることを書いたが、今日は歴史家パピアスについて簡単に紹介しよう。今、歴史家パピアスと述べたが、普通はそうは言わない。彼の本拠地ヒエラポリスを冠してヒエラポリスの…

No. 8.

Q仮説資料における歴史性の欠如(ペテロがどこにもいない、というより・・・)歴史性(historicity)というものは、歴史的な事実の背景に歴史的な意味が重なって真実味(plausibility)が認識されたもののことである。この定義は、余が論文等で主張してきた…

No. 7.

「共観福音書問題」最少数派としてのルカ伝優先説優先説というのは priority の訳である。他の人の訳語には興味がない。余の訳である。最も有力なのがマルコ伝優先説(Markan Priority または Marcan とも書く)であり、共観福音書の最も古いものはマルコ伝…

No. 6.

「共観福音書問題」(こぼれ話)Q資料仮説否定論者でオックスフォードの教授になれなかった二人となれそうもない一人について拡大つぶやき版A.M.ファーラー(Austin Marsden Farrer, 1904 – 29 December 1968) は、普通、著作でフルネームは使わず A.M. Farre…

No. 5.

「共観福音書問題」(第5講)Q資料に対する温度差(番外編ではあるが、英語圏とドイツ語圏)こんな専門でもない共観福音諸問題を取り上げたのは他でもない。例によって私が変なことを言ったからだ。いや、言ったこと自体が変なのではなく、聞くほうが変に思…

No. 4.

「共観福音書問題」(第4講)Q資料どころか共観福音書問題まで根こそぎひっくり返したブルトマンの愛弟子イータ女史の反乱(Dr. Eta Linnemann)私は第1講で、共観福音書問題の学問的意義を述べた。この問題解決次第によっては、聖書解釈も、史的イエス問題…

No. 3.

「共観福音書問題」(第3講)Q資料的なものがヨハネ伝に適用された時代(フォートゥナの「しるしの福音書」登場)Q理論を知るための一助としてどうも私は横道に逸れる傾向があり「横道ハカセ」という異名もある。思えば、私は横道が大好きだった。小学校時代…

No. 2.

「共観福音書問題」(第2講)資料とは、「文書化している伝承」をもっぱら指し示すなり二資料仮説(Two-Source Hypothesis)とかQ資料仮説(Q Source Hypothesis)などの核心部分に入る前に、いくつかあらかじめ明らかにしておいたほうがよいものがある。日…

No. 1.

「共観福音書問題」(第1講)問題の定義と三つの用語:共観福音書、三重伝承、二重伝承このように統一キーワードを建てたシリーズはろくな結果になっていない。まともに全33回の連載で完結したのは "Vermes, The Resurrection" のシリーズだけで、他は放り…