Comments by Dr Marks

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キリスト教徒の樹木葬? アメリカの墓碑の変遷

写真はエヴァグリーン墓地(前回記事参照)の樹木葬的墓地。韓国などで樹木葬は流行っているが、昔から世界中どこにでもある。アメリカの東部では教会付属の墓地に葬っていたが、西部に移動したアメリカの開拓者は、荒野に葬らなければならないこともあった。その際、墓碑は枯れ枝で作った十字架であったこともあるだろうし、土饅頭に大きな石を乗せて後々の目印にしたこともあるだろう。

戦士者の整然と並んだ十字架の墓地を目にする人、あるいは現代の新墓地の引き出し型の墓を目にする人は、アメリカ人は個人個人の墓が主だと思うかもしれないが、実は一族一家のファミリー墓地も数十年前までは存外に多かったものだ。現在は、むしろそういう単位で買うことが難しくなっている。先日オレンジ郡の新墓地で聞いたときも最大8人まで(土葬可)というのは目が飛び出るほどの値段だから、超の付く大金持ちでなければ入手できない。

今は日本の都市部を中心に先祖代々の墓が中心だが、元々は然るべき家族においては数坪から数十坪の墓地を有して、中心にその家族の祖先の墓を置き、左右にその後の子孫の銘々の、あるいは夫婦の墓が並んだものである。昔は土葬が主であったという理由もあるが、今では田舎においてもそのような墓地の購入はほとんど不可能であろう。

エヴァグリーン墓地のような昔の墓にはさまざまな墓碑が立っているが、現在、新しく作られる墓地のほとんどは平らな石の墓碑あるいは金属のプレートしか埋め込むことを許されない。芝刈りに便利なようにという話もあるが、一様に緑の丘にしておきたいというのが主な理由らしい。あるいは死んだら平等という思想もあるのだろうが、そんな墓地は訪れても空しいものだ。

さて、写真の墓の大きな木の幹に話を戻す。実は、樹木の生長の早い南カリフォルニアであるから、この巨木は百年少し経ったにすぎない。2基の墓標がもう傾いているから本当はこの木は切り倒したほうがいい。そう言うと、多分、緑の何とかという人たちは、木陰を作っているし、何故に切り倒すと怒るかもしれない。それは木を知らない人だ。この木の地下の根で墓の下は荒れるし、早晩墓碑も傾いてしまう。そうならないうちに切り倒してしまうほうがいい。そして、切り株を残して置けば、そこからひこばえが出て、数年で立派な木になるはずだ。大きくなったら切り倒す。ひこばえが再び生える。それこそ復活だろう。