Comments by Dr Marks

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法隆寺の中門の真ん中の柱なんざ謎でもなんでもないわいな、梅原のおいちゃん(お前の父ちゃんはトヨタを立派にした一人だけど)


あの本(『隠された十字架』)についてはいろいろ言いたいことあるけど今は止めとく。あれは、日本史のおさらいにはなるが、哲学的ではちっともない。しかし、あの人の父ちゃんはトヨタで偉い技術者(兼経営者)だったようだ。トヨタがらみで梅原猛のおいちゃんを思い出しちゃった。

あっ、中門の真ん中の柱ね。門というのは門という漢字を見ちゃいけない。梅原みたいな誤解のもと。英語でゲイトという言葉の語感には招き入れるだけではなく、中に入れないようにする通せんぼの意味(gated area=勝手に進入できない所)があり、むしろそのほうが強い。(この頃の日本の伽藍建築にはグレコローマンの影響があるはずだが、素人の私にはわからん。梅原より教養のある「常識」人の私としてはそうだろうというだけだ。実証は専門家にまかす。)


もっとも、梅原も入るを防ぐではなくて中の死霊が出ないようにしているんだというのは着眼点としてよろしい。しかしなあ、基本的には出るを防ぐというよりは入るを防ぐんじゃ。だから、必要がなければ片側しか開ける必要もないし、なんならもっと小さい通用門を付けてもいい。

適当な市の門の例(マルタ島ヴァレッタ市)を挙げておくが、その他のヨーロッパの門でもエルサレムの市の門でも建物の門でも枚挙に暇はありませんがな。ヴァレッタ市のちんけな門(なんか劇場の門もこうらしいが)よりは、中門の真ん中の柱はブランデンブルク門みたいでかっちょいいやんか。


あれは梅原の言うような偶数の謎などというものではない。だってエルサレムには柱が二本、すなわち門口が三つの門だってあったんだモン(Triple Huldah Gates という)。数の謎って日本人でなくても好きなことは好きなんだが、常識を離れ理性的たらんとする梅原の意図に反して反理性的(迷信的)この上ない。ところで、何で「十字架」だ。いまだに俺は謎。