Comments by Dr Marks

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対で覚えるイディオム "Catting around"と"Tomcatting around" (口語英語表現でごまかすブログ No.3)

今日は本当にごまかしなのだ。(影の声:いつだってごまかしじゃんか。)本当は Synoptic Problem(共観福音書問題)の一部を紹介しようと思ったのだが、少なくともネットでの英語資料が読めないと紹介しても意味がない。また、Wikipediaで関連の用語を検索してみたが日本語版はまったくないか、あっても幼稚園児か小学校低学年が書いたものしかない。英語版でもWikipediaではだめだった。大学生レベルのものもあったがせいぜい高校生レベルでしかない。(アメリカの学者は、普通Wikipediaの記事は書かない。ほとんどのウィキ執筆者は素人と思っていい。)

これは根本的に準備し直さなければならないと思った。また、今までの反応の中でも、いきなり Minor Agreement の話をしても意味がないことに気づいたからだ。少しは段階を追って記事にするしかない。元々、アメリカでは教養課程でSynoptic Problemを取り上げる先生も少なくなく、一般常識の話題として成立する背景があるが、日本はそうではない。

グッドエイカー先生のように新約聖書を専門で教えているわけではない偽新約学者としては、それなりのシラバス(ブログでシラバスってか!)準備がいるし、日常の中ではそれほどこれに時間を掛けるわけにいかないのも悩みだが、「偽」が付こうが新約学にも首を突っ込んだ者の心意気(よっ、大統領!)、少し出していこうかと思っている。期待はしないでほしい。いつも言うように、私は約束しているわけではない。

やっと本題に入ろうかと思ったが、またまた饒舌男の悪い癖で、今日のイディオムがどうして選ばれたかいうことと、イディオムにも地方性ないしは社会的通用範囲があることを先に述べよう。今晩(毎週月曜日、ときに隔週)は我が家に数人が食べに来る。私の料理を食べに来るのだ。料理といっても簡単なものだが、集まるのはほとんど独身者で家庭料理はたまにしか食べない者たちだ。つまり、貧乏人の、この俺がやつらを養っているみたいなものだ。

そこで出たイディオムがたまたま catting around。我が家のオス猫ルーファスの話から、春で色気づいている近所の猫どもの話、更に猫の親分とも言えるタイガー・ウッズの話になれば、tomcatting around と catting around が出てくるのも自然の成り行きだった。ここで意見が二つに分かれた。Catting around は男が手当たり次第に女狩をすることだが、tomcatting around も意味は同じという多数派(日和見の私はいつも多数派に組する)と、いや、tomcatting around は女が男漁りをするときのものだというのだ。

この少数派、といっても一人の女性だったのだが、彼女はニューヨーク生まれながらイギリス系で、イギリス文化的な生い立ちなので、イギリス英語では 「Tom はかならずしもオス猫ではなくメス猫もTomだ。なぜならTomとは娼婦のことだから」と説明した。なるほど、その場でネットで探ったら、メス猫は普通は Queen といわれるのだがTom(娼婦、男ハンター)とも言われる。彼女は、Queenというメス猫の別称こそ、欧州の女王は歴史的に男漁りばかりしていた名残だともいう。つまり、女も男も同じだと言いたいらしい。

更に彼女は、今でもヤンキーズ(北部人)の冗談はサザナーズ(南部人)がわからないように、同じイディオムでもイギリス人とアメリカ人は違うと言い出した。う〜ん、しかし、今回はわからん。我々としては、どちらもwoman-chaserつまり「女漁りをする男の行動」としておいたほうが無難だろう。この場合、誰か自分に適した特定の女性をハンティングする真面目な男の行動ではない。手当たり次第に誰でもアタックすることを指す。例えば、George was catting (or tomcatting) around with every girl at party last night.(ジョージは昨晩のパーティーで手当たり次第に女の子に言い寄ってたよ)のような使い方になる。

余計なことを言うが、幼いあなた、「言い寄る」ってやさしく訳したけど、この catting around キャッティング・アラウンドはセックスが目的の場合に限られるからね。そのつもりで使うように。単にお友達になりたくて忙しくしている男(の子)は、chatting around チャッティング・アラウンド(あちこちでおしゃべり)しているに過ぎない。何? 疑問の余地なく「男漁りする女」はなんていうのだって? Woman-chaser の対は man-chaser だよ。何? それでは面白くない? うん、"wolfess(ウォルフス)" という言葉があるそうだ。辞書にはないかもしれないが。ほら、男が女漁りをするのはオス猫程度だが、女が男漁りするときにはメス狼さ。食われるぞ〜。怖いぞ〜。

何っ、怖くてもそんな目に遭ってみたい?  お前は救いようのないアホか。旧約聖書箴言7章でも読んで頭を冷やせ、馬鹿者!(ちぇっ、また聖書じゃねーか。)